60年代初頭のフォーク・リヴァイヴァルの頃から活動してきたマリア・マルドア(日本ではマルダー)は、色っぽい声で幅広いラヴ・ソングを解釈することで定評のある歌手です。しかし、これまで時事問題を扱ったいわゆるメッセージ・ソングを避けてきた彼女は新作『Yes We Can!』でそういった社会的な訴えを持った曲ばかりを特集することにしました。それだけ現在の世の中が向かっている方向に危機感を抱いているからだ、と本人が書いています。
アラン・トゥーサンのタイトル曲、マーヴィン・ゲイの『Inner City Blues』、ボブ・ディランの『戦争の親玉』など、彼女ならではのセンスのいい選曲ですが、ぼくがこのアルバムで初めて聴いて、とても気に入った1つの曲はカントリー歌手ガース・ブルックス作の『We Shall Be Free』です。
「パンの耳欲しさで泣く子供がいなくなり、理にかなった発言をしたために死亡する男もいなくなり、最も貧しい人の頭の上に屋根がかかったとき、我々が自由になるのがその時だ。最後に気づくのが人の肌の色、最初に求めるのが内なる美、そして空も海も再びきれいになった時、 我々が自由になるのがその時だ」という飾りのない歌詞には反論できない力がこもっています。
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