- 2025年4月16日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ハンガリー
- トピック:
ネタニヤフ首相には、パレスチナ人に対する戦争犯罪および人道に対する罪の疑いでICCから逮捕状が出ている。ハンガリーのオルバン首相はICCが指名手配している逃亡犯をかくまっているに等しい。ネタニヤフ首相を歓迎することで、ハンガリーは事実上、ガザ地区におけるパレスチナ人に対するイスラエルのジェノサイドを承認したことになる。
ICCが指名手配している逃亡者ネタニヤフ首相などと会うことはICCの弱体化につながる。ICC加盟国の指導者や政府高官は、それに加担すべきではない。今回の狡猾なハンガリー訪問を、ネタニヤフ首相が罪を問われずに外遊できるという事態のきっかけにしてはならない。
ハンガリーのICC脱退表明は、国際的な司法を回避し、ICCの活動を妨害しようとする不適切な試みだ。脱退表明は、ハンガリーが依然としてネタニヤフ首相を逮捕し、ICCに引き渡す基本的義務を負っているという事実を変えるものではない。脱退の発効は1年後であり、ハンガリーには引き続き国際的な法的義務がある。
ハンガリーがネタニヤフ首相の訪問を受け入れたのは、ICCへの直接的な攻撃である。強固な団結が求められているEUを弱体化させるものであり、正義を求めるすべての被害者に対する侮辱だ。
EUおよびICCの全加盟国は、ハンガリーに対して、直ちにネタニヤフ首相の逮捕と引き渡しを求めるとともに、この種の訪問が象徴する国際司法に対する狡猾な脅威からICCを守ることを確約すべきだ。このような法的破綻は、国際的な規則に基づく秩序にさらなる損害を与える前に食い止めなければならない。
背景情報
ネタニヤフ首相の今回の訪問は、イスラエルによる占領下のガザ地区のパレスチナ人に対するジェノサイドが始まってから1年6カ月目になる。
イスラエルはこれまでに50,140人以上のパレスチナ人を殺害しており、その中には15,600人以上の子どもも含まれる。負傷者は約114,000人にのぼる。イスラエルは、ガザ地区の190万人のパレスチナ人を強制的に移動させ、違法に包囲し、全住民を病気の急増と飢餓に苦しめてきた。1カ月以上前から、ガザ地区への緊急人道支援が完全に遮断されている。3月2日、ネタニヤフ首相は、領土を「奪取」し、ガザ地区を「分断」すると発表した。
ICCからの脱退は、ローマ規程第127条に基づき可能である。脱退は、ニューヨークの国連条約事務局が通告を受理してから1年後に発効する。したがって、脱退したからといって、ICCの逮捕状対象者の逮捕や進行中の捜査への全面的協力など、加盟国としてハンガリーが負う現在の法的義務には影響しない。
同国の脱退は戦争犯罪のすべての被害者への裏切り行為であり、また脱退により、ハンガリーの人びとが戦争犯罪などを受けた場合に正義を求める機会も奪われることになる。
ICC加盟国の政府関係者は、ICCの指名手配犯であるネタニヤフ首相のような人物との接触を、必要不可欠でない限り、すべて断つべきだ。全EU加盟国はEUの政策として、今回のような必要不可欠ではない接触を避けることに同意している。
アムネスティ国際ニュース
2025年4月3日
英語のニュースを読む
関連ニュースリリース
- 2024年3月 6日 [国際事務局発表ニュース]
ハンガリー:LGBTIへの差別と偏見を助長するプロパガンダ法 - 2021年1月 7日 [国際事務局発表ニュース]
ハンガリー:LGBTIを差別する法案と憲法改正の成立 - 2020年6月19日 [ブログ]
ハンガリー:トランスジェンダーの人々にも自分らしく生きる権利を ~ハンガリーの#Drop33ムーブメント~ - 2020年6月 2日 [国際事務局発表ニュース]
ハンガリー:新法 トランスジェンダーの権利を否定 - 2020年5月27日 [国際事務局発表ニュース]
ハンガリー:難民拘束にEU裁判所が違法判決