- 2025年2月12日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
ドナルド・トランプ大統領が、米国がパレスチナのガザ地区を「所有」し、ガザ地区のパレスチナ人約200万人を近隣諸国へ強制的に移住させることを再び主張した。明確かつ広く非難されるべき発言であり、扇動的で言語道断、恥ずべきものだ。この提案は、明白な国際法違反にあたる。
パレスチナ人をその意に反してガザ地域外に強制的に移住させるいかなる計画も、戦争犯罪にあたる。また、民間人への攻撃の一環として広範に、あるいは組織的に行われれば、人道に対する罪となる。
ガザのパレスチナ人は過去数十年間、違法占領とアパルトヘイトの下で暮らし、この16カ月間は、イスラエルのジェノサイドの犠牲となってきた。今回の米大統領発言は、そのパレスチナ人の人間性を著しく否定するものだ。
ガザ地区に住むパレスチナ人の大半は、1948年の「ナクバ(イスラエル建国によってパレスチナ人が残虐な暴力で追放された悲劇)」の生存者とその子孫であり、長年、イスラエルに繰り返し土地を奪われ、帰還する権利を否定されてきたが、それでもなお、自分たちの土地にとどまり、人権を守る戦いを続けてきた。
イスラエルのガザ地区におけるジェノサイドは、違法な殺害や損傷、物理的破壊をもたらすことを意図した生活環境の強要などで構成されてきた。これに加えて、占領下のヨルダン川西岸地区における違法な殺害、国の支援を受けた入植者による暴力、大規模な土地の没収、恣意的な逮捕、強制失踪、拷問、虐待が、被占領パレスチナ地域とイスラエルでパレスチナ人に対して行われてきた。
トランプ大統領はイスラエルのネタニヤフ首相との対談の中で、ガザ地区の破壊、殺りく、居住不可能な状況を「解体現場」と呼んだが、この惨状を引き起こしたイスラエル政府の責任についてはまったく触れなかった。また、ガザ地区で繰り返し使用され、死傷者を出した違法な攻撃に使用された武器を供給してきた米国政府の責任を認めることもなかった。
トランプ大統領の危険な脅しを前にして、国際社会には、同氏の提案を断固として拒否し、国際法に則って、イスラエルの不法占領を終わらせ、アパルトヘイトを解体し、パレスチナ人とイスラエル人の人権を尊重する迅速な外交努力が求められている。政治的都合で国際法をないがしろにすることは、侵害行為を永続させるための方策であることは、これまでの歴史が証明している。
アムネスティは、切実に必要とされる人道支援や復興を駆け引きの材料として悪用したりパレスチナ人を追い出す手段として悪用することに対して、警鐘を鳴らしている。占領下にある保護対象の住民を地政学的な駆け引きの駒として扱う権利は、どの国家にもない
アムネスティ国際ニュース
2025年2月5日
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