- 2024年12月25日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:
- トピック:死刑廃止
12月17日、国連総会で加盟国の3分の2以上が、死刑廃止を視野に入れた死刑執行の停止を求める決議案を支持した。
この大きな支持は、国連加盟国が、死刑を国際人権法の下での合法的な刑罰として否定する方向に着実に近づいていることの証左であり、死刑は人権保護とは相容れないという国家間のコンセンサスが形成されつつあることを示す。
また、死刑の存置を認める国際条約が最初に採択されたときとは状況が大きく異なり、廃止に向けた世界的な動きが止まらないことを示している。
2007年、死刑の執行停止を求める国連決議が最初に採択され、以来、今回含め、10回決議されている。当時104カ国だった賛成票は、今年は130カ国となった。これらの決議は、道義的にも政治的にも大きな影響力を持っており、この残酷な刑罰の適用が今後も厳しく監視され続けることを意味する。
今回、非常に前向きな動きとして、今年の投票ではアンティグア・バーブーダ、ケニア、モロッコ、ザンビアが初めて賛成票を投じた。
一方で、「各国が独自の刑事罰を決定する主権的権利を再確認する」という文言が残ったままで採択されたのは遺憾だ。この文言は死刑を正当化するものであり、その意図は、目指すべき基準としての国連決議の精神を弱体化させ、死刑という重要な問題における人権の進展を妨げることだ。最優先事項として拒否されなければならない。
アムネスティは50年近くにわたって死刑廃止を訴え続けてきた。今回の投票は、人権保護と死刑は相反するという方向で、各国の意見がまとまりつつあることを示す。2023年にはイラン、サウジアラビア、米国などで憂慮すべき数の死刑が執行されたにもかかわらず、今なお死刑を執行している国は少数派であり、孤立している。
この決議を機に、いまだ死刑を存置する国々は廃止に向けた措置をすぐさま講じなければならない。また、すべての国連加盟国は、死刑執行による生命に対する明白な権利の侵害について責任を問うべきだ。
アムネスティは、犯罪の性質や状況、有罪・無罪、その他の個人の特性、または国家による死刑執行の方法に関わらず、いかなる場合も例外なく死刑に反対する。
背景情報
- 国連加盟国の3分の2以上にあたる130カ国が、死刑執行停止に関する第10回決議案の採択に賛成票を投じた。一方、32カ国が反対票を投じ、22カ国が棄権した。この決議案は、加盟国による地域間タスクフォースを代表してアルゼンチンとイタリアが提案し、70カ国が共同提案国となった。
- 前回、2022年12月に採択された時より、支持が増えている。アンティグア・バーブーダは反対から支持に転じ、2022年に棄権票を投じたガボン、ケニア、モロッコ、ザンビア、支持に回った。バハマ、バングラデシュ、コンゴ民主共和国は反対から棄権に、投票に参加しなかったサントメ・プリンシペ、セーシェル、ソマリア、バヌアツは賛成票を投じた。
- いくつかの国が反対に回る動きを見せた。2022年には賛成票を投じたギニアとウガンダは、今年は棄権票を投じた。モーリタニアとパプアニューギニアは、棄権から反対へと転じた。
- 2022年に反対票を投じたドミニカ、グレナダ、シリア、賛成票を投じた中央アフリカ共和国とマーシャル諸島は、今回、投票には参加しなかった。2022年に欠席したコモロは、棄権票を投じた。
- 2007年以降、国連総会は、死刑廃止に向けた死刑執行停止を求める決議を10回採択しており、地域を越えた支持が高まっている。
- アムネスティがあらゆる犯罪に対して死刑を廃止している国として分類している国は、2007年の90カ国から現在の113カ国に増加している。
アムネスティ国際ニュース
2024年12月18日