- 2024年11月21日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:インド
- トピック:強制立ち退き
インドの最高裁は11月13日、当局による恣意的な家屋取り壊しの停止に向けたガイドラインを示した。この画期的な判決を機に、家屋や財産を違法に取り壊して住民を処罰するという不当かつ非人道的な慣行に終止符を打つべきである。
最高裁の判決は、アムネスティがこれまで指摘してきた問題を再確認するものだった。特に政府の指導層が主導するイスラム教徒の家屋の取り壊しは、法の支配と適正手続きを弱体化させるものだ。このような無法行為は論外であり、「ブルドーザー司法」として讃えられるべきではない。
違法な家屋の取り壊しをしてきたウッタル・プラデーシュ州、ハリヤナ州、マディヤ・プラデーシュ州、マハーラーシュトラ州、アッサム州、グジャラート州などの州政府は、今回の最高裁の判断を真摯に受け入れ、今後の対応を早急に見直す必要がある。
強制立ち退きを強いられた被害者は、同国の憲法および国際人権法に反して集団的処罰の対象となった人びとであり、速やかに補償が受けられるようにしなければならない。一方、違法な取り壊しに関与した当局は、その責任を問われるべきだ。
今回の最高裁の判断を機に、州政府による少数派の人々への嫌悪、嫌がらせ、暴力が停止することを期待したい。違法行為の再発は許されない。
背景情報
11月13日、最高裁の2人の判事は、家屋取り壊しに関するガイドラインを求める訴えを審理し、「行政府が裁判官になり、被告を有罪にして、家屋を取り崩すことはできない」とし、さらに、「高圧的で恣意的な行政府の対応は、違憲で集団的懲罰にあたる」との判断を示した。
アムネスティは今年2月に公表した報告書の中で、インドの少なくとも5つの州で、差別的な法律や慣行に抗議する少数派の人びとが、不当で懲罰的な家屋の取り壊しを受けていたことを明らかにした。アムネスティは、「ブルドーザー司法」を糾弾した今回の最高裁の判断を歓迎する。
アムネスティ国際ニュース
2024年11月13日
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