ジェンダーアパルトヘイトを国際法上の犯罪にすべき

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. ジェンダーアパルトヘイトを国際法上の犯罪にすべき
2024年6月27日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:
トピック:女性の権利

ジェンダーを理由にした抑圧と支配との闘いを強化するために、ジェンダーアパルトヘイトは国際法上の犯罪と認識されなければならない。

国際社会は、女性、少女、LGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)の人びとに対する制度的で組織的な暴力、支配、抑圧を十分に認識せず、対応もしてこなかった。アムネスティは、世界の法的枠組みにおけるこの重大な認識不足に対応するため、国際法でジェンダーアパルトヘイトを認めるよう求める。誰も、ジェンダーを理由に権利の侵害、隔離、沈黙、排除などを受けるようなことがあってはならない。

これまで女性や少女は、世代を超えて制度や慣習がもたらした根深い暴力、支配、抑圧を受けてきた。数え切れないほどの人びとが殺され、さらに多くが日常的に尊厳、自由、平等を否定されてきた。国際社会はジェンダーに基づく体系的な抑圧と支配を国際法上の犯罪として認めず、その重大で深刻な事態に対応した対策を取ってこなかった。

今日、私たちはジェンダーアパルトヘイトが国際法の中で正式に認められるよう求める運動の先頭に立ってきたアフガニスタン、イランなどの国々の女性たちを含む先駆者の呼びかけに加わる。

各国はジェンダーアパルトヘイトという形態の制度化された抑圧を明確に名指しし、捜査と訴追の義務を確立し、抑圧と差別に対する相応の処罰を設定しなければならない。私たちには、ジェンダーの権利と平等の闘いの最前線で活動する人びとに対しその認識と厳正さに敬意を払い、ジェンダーアパルトヘイトの被害者の正義を実現する責任がある。

アムネスティは、ジェンダーに基づく制度的、組織的な支配と抑圧などのジェンダーアパルトヘイトを法的に認知するよう強く求める。法的認知は、国際法の欠陥を解消する上で欠かすことができない。

現行の国際的枠組みの中で最も近いのは、「ジェンダーに基づく迫害」であり、国際刑事裁判所のローマ規程などの国際法は、「人道に対する罪」として認識されている。しかし、この規程の定義と範囲はアパルトヘイトとは大きく異なる。

特定の集団が両方の犯罪の対象になることがある一方で、迫害という概念だけでは、アパルトヘイトの体制下で行われる人権侵害の体系的な支配の範囲や、制度化されたイデオロギー的性格を十分に捉えることができない。

世界は今こそ、ジェンダーアパルトヘイトを国際法で定め、女性、少女、LGBTQIの人びとに対する法的保護を拡大し、ジェンダーアパルトヘイトという重大な犯罪の根絶に向けた取り組みを支援しなければならない。

現在国連で議論されている「人道に対する罪」条約案は、ジェンダーの正義のための闘いを盛り上げる重要な機会である。国連加盟国はこの闘いの強化に向け、ジェンダーアパルトヘイトを国際法に加える機会、あるいは人権理事会など他の機会も利用しなければならない。

背景情報

ジェンダーに基づくアパルトヘイトの概念は、1990年代のアフガニスタンの女性や少女に対するタリバンによる力の支配と女性の権利の侵害に対抗して、国内の女性人権擁護者やフェミニストにより初めて打ち出された。

2021年にタリバンがアフガニスタンを支配して以来、ジェンダーに基づくアパルトヘイトの概念はより広く使われるようになった。イランのフェミニストや国連の専門家の多くも、イランにおける女性差別や抑圧は、ジェンダーアパルトヘイトに相当する、あるいはその可能性があると主張するようになった。

国際法におけるジェンダーアパルトヘイトの認知を求める国際キャンペーンは、ノーベル平和賞受賞女性4人や世界中のフェミニスト活動家や支援者から幅広い支持を集めている。

アムネスティ国際ニュース
2024年6月17日

英語のニュースを読む