- 2024年2月 9日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:スリランカ
- トピック:表現の自由
スリランカ議会は1月24日、オンライン安全法を可決した。同法は表現の自由と反対意見への弾圧に利用されるおそれがあり、同国の人権に深刻な打撃を与えかねない。当局はこの法律を廃止し、スリランカのすべての人の人権を保障しなければならない。
新法には、国際人権基準を満たしていない部分が多数ある。例えば、表現の自由やプライバシーの権利を制限するような過度に広範な規定や、「オンライン安全委員会」が指定・通告する「禁止発言」などのあいまいで主観的な罪もそうだ。
表現の自由とプライバシーの権利は、スリランカも加盟する市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)で保障されている。
スリランカでは、経済危機と政府の緊縮財政で市民が厳しい生活を強いられる中、人びとは苦難に立ち向かい、抗議の声をあげている。そのような中で今回の新法は、市民社会をさらに制限し、政府批判を弾圧する手段に利用されることになるだろう。
スリランカには、抗議する市民が弾圧を受けてきた長い歴史がある。総選挙が予定される今年、選挙前から選挙中、選挙後まで、当局は人権を尊重する国際的な人権の義務と責任を支持する政治的意思を明確に示さなければならない。
背景情報
今回のオンライン安全法の下で幅広い権限を得る「オンライン安全委員会」は、「禁止発言」の指定とプロバイダーへの発言削除勧告、違反者のサイトへのアクセスの停止などの措置を勧告できるようになる。
また、同法では国家の安全や公衆衛生、公共秩序を脅かす、あるいは階級間の敵意を助長するような「虚偽の文言のやり取り」も違法になる。また、礼拝や宗教儀式などの集まりに混乱をきたすやり取りも禁止される。
人権活動家、市民団体、国連高等人権弁務官事務所などが、「表現の自由を萎縮させる」として、同法案を批判していた。
アムネスティ国際ニュース
2024年1月24日
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