- 2023年10月25日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
パレスチナ自治区のガザ地区を実効支配するハマスなどの武装組織は、無差別殺人、市民の拉致、無差別攻撃など残虐で人命を軽視した国際法違反の行為を行っている。すべての証拠の確認はまだ終わっておらず、アムネスティは、国際法上の犯罪の種類や範囲を明らかにするための調査を続ける。
10月7日にガザ地区のハマスによる無差別ロケット弾攻撃が始まって以来、イスラエルでは子どもを含む民間人1,200人以上が死亡し、2,400人が負傷した。ガザ地区では、イスラエル軍の報復攻撃で少なくとも1,200人が犠牲になった。イスラエルが、水、電気、食料、燃料などの供給を止める封鎖措置を取ったことで、ガザ市民が直面する人道危機は深刻化する一途だ。イスラエルの封鎖はガザ住民に対する懲罰であり、戦争犯罪にあたる。
民間人の虐殺は戦争犯罪であり、このような攻撃を正当化することはできない。アムネスティは武装した男たちが民間人を銃撃し、人質として引きずっていく様子を映した動画を検証した。こうした犯罪は、国際刑事裁判所が進めている現紛争におけるすべての当事者による犯罪の捜査に含めなければならない。
イスラエルがこれまでに戦争犯罪を行ってきたからといって、パレスチナ武装勢力の恐ろしい行為は許されるものではない。また、人道と民間人保護の基本原則を尊重するという国際法上の義務も免除されはしない。
イスラエル政府当局によれば、イスラエル南部の数カ所で民間人が殺害されたのに加え、少なくとも150人の人質がガザに連れ去られた。子どもや外国籍の人たちもいた。民間人の拉致は国際法が禁じていて、戦争犯罪にあたる。ハマス側は人質にした市民を直ちに解放しなければならない。
アムネスティが検証した動画には、10月7日、ガザ地区に近いイスラエルの住宅地やその周辺で、ハマスの戦闘員が民間人を拉致し、殺害する様子が写っていた。
軍服を着た6人の男たちに後ろ手を縛られて連行される4人の民間人、同じ場所で彼らが遺体となって映っている映像など、衝撃的な映像ばかりだった。
イスラエルのキブツ(農業共同体)ベエリの様子を撮った動画には、軍服を着た2人の男が至近距離から車に発砲し、運転手と同乗者2人を殺害し、3人の遺体を車に積み込む様子が残っていた。別のキブツ、クファル・アザでもレイムでも、武装した男たちが至近距離から車や防空房に隠れている市民に向かって発砲していた。
野外音楽祭会場を襲撃
10月7日の攻撃で特に死者が多かったのが、ガザ地区との境界近くで夜通し行われていた音楽祭の会場だった。早朝7時ごろに始まったハマスの奇襲攻撃で少なくとも260人が犠牲になった。
アムネスティのクライシス・エビデンス・ラボは、18本の動画を検証した。多くは生存者が撮ったものだったが、1本は武装組織のメンバーが撮影したものだ。7本の動画には、武装した男たちが民間人を撃っている様子が映っていた。背後には銃声が飛び交っていた。5本の動画には、近くの野原を通り抜けたり茂みに隠れるなどして逃げようとする人びとが映っていた。人質に取られる場面の動画も4本あった。
アムネスティは、生存者の1人(22歳)に話を聞いた。
「襲撃直後すぐに森に逃げ込み、穴を掘って入り、木や葉っぱで体を覆った。6時間ほども隠れていた間、銃声が絶え間なかった。戦闘員が逃げ惑う人たちを撃つ様子が見えた。戦闘員があちこちに燃料を撒いていた。逃げて撃たれるか、燃やされるか、二つに一つだった。目をつぶると恐ろしい光景が浮かんで眠れなかった。あちこちにある死体、燃えている車の中に閉じ込められた人たち、血の匂い・・・」
繰り返される残虐行為を終わらせるために行動を
アムネスティは国際社会に対し、パレスチナ人とイスラエル人それぞれの人権が守られ、犠牲者の正義と補償が約束されるよう、あらゆる措置を講じることを求める。
パレスチナ武装勢力とイスラエル当局の双方は、国際人道法を厳格に遵守するべきだ。とりわけ、敵対行為の際、人道性を確保し、民間人の被害を最小限に抑えるために必要な予防措置を講じ、違法な攻撃や民間人への集団懲罰を控えなければならない。
アムネスティはガザのすべての武装勢力に対し、民間人の人質全員を即時、無条件で解放するよう求める。
イスラエルに対しては、16年間続くガザ封鎖の解除をあらたあらためて要請する。イスラエルは民間人を殺傷し民家やインフラを破壊する攻撃に終止符を打たなければならない。
2021年、国際刑事裁判所はパレスチナ情勢の調査を開始した。その対象には、パレスチナ人に対するアパルトヘイトという人道に対する罪だけでなく、現行の戦闘で全当事者が犯した国際法上の罪も含まれる。アムネスティは国際刑事裁判所の検察官に、捜査を迅速に進め、最新の犯罪も対象とするよう求める。
今回の攻撃は、イスラエルとパレスチナ被占領地をめぐるより広い文脈の中で考えなければならない。しかし、アムネスティは、戦争犯罪は何をもってしても正当化できないということを、可能な限り強い言葉で繰り返す。
この暴力の根本にある不公正と違反行為は、喫緊の課題として対処しなければならない。イスラエルによるガザ封鎖などパレスチナ人へのアパルトヘイト体制が解体されるまで、双方の市民は大きな代償を払い続けることになる。
法的枠組み
武力紛争の状況下で適用される国際人道法は、すべての紛争当事者に対し民間人の保護や戦争における人びとの苦痛の軽減に取り組む義務を課している。イスラエル軍とパレスチナ武装組織との戦闘には、国際人道法の慣習法規則含め、敵対行為に関する規則が適用される。この文書で特に関連するのは、民間人への直接攻撃、殺害、人質、無差別攻撃の禁止だ。
国際人道法の大原則として、いかなる場合も紛争当事者は民間人や民間インフラを攻撃してはならず、攻撃の回避のためにあらゆる手段を講じなければならない。
背景情報
2007年以来、イスラエルはパレスチナのガザ地区に空・陸・海の封鎖を敷き、ガザ市民に対する懲罰体制をとってきた。10月7日から始まった戦闘は、イスラエルとガザ地区の武装組織間の6度目の大規模な紛争になる。
アムネスティは2022年2月に、イスラエル軍がパレスチナ人に対する抑圧と支配の体制を維持する目的で、民間人に対する広範かつ組織的な攻撃の一環として、国際刑事裁判所規程とアパルトヘイト条約で禁止されている行為を、ガザ、ヨルダン川西岸地区、イスラエル国内で行っていることを明らかにした。こうした行為はアパルトヘイトという人道に対する罪を構成している。
不偏不党の人権団体であるアムネスティは、武力紛争のすべての当事者が国際人道法と国際人権法を遵守するよう求める。したがって、今後はイスラエルのガザ地区における軍事行動を調査し、民間人や民間施設への被害を最小限に抑えるために必要な予防措置を講じているか、国際法で義務付けられている違法な攻撃や民間人に対する集団罰を控えているかなど、国際人道法を遵守しているかどうかを判断する。また、ハマスとパレスチナ武装集団の活動についても引き続き監視していく。
アムネスティ国際ニュース
2023年10月12日
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