- 2023年8月18日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ブラジル
- トピック:
ブラジル警察の捜査活動の中での市民の死者が増えている。バイーア州、リオデジャネイロ州、サンパウロ州の3州で、わずか数日で計45人が殺害された。関係当局は市民の犠牲を伴う捜査を直ちに停止させるべきだ。
背景には、警察活動での違法な殺害や他の深刻な人権侵害に歯止めをかけることができない同国の制度的な問題がある。知事や警察幹部は治安政策を見直し、武力行使と人権保障を両立させる必要がある。
バイーア州のサルバドール、イタティム、カマサリの各都市では、7月28日から8月1日にかけ、19人が亡くなった。リオデジャネイロ州ヴィラクルゼイロ地区では、8月2日から始まった捜査で、10人が死亡し4人が負傷した。同地域では昨年5月にも、捜査当局によって25人が殺害されていた。
サンパウロ州バイシャーダ・サンチスタ地域では7月27日、警官1人が亡くなり、その後の1週間、軍警察による「エスクード(盾)作戦」で181人が逮捕された。さらに、州の警察監察官によると、この作戦で19人以上が亡くなったとされ、調査中だという。
バイシャーダ・サンチスタの住民からの、拷問や脅迫、不法侵入、襲撃、射殺などがあったという通報を受け、当局は「エスクード作戦」を向こう30日間続けると発表した。さらに死者が増え人権侵害が拡大するおそれがでている。
2006年5月、サンパウロとバイシャーダ・サンチスタで警官数人が殺害され、その報復として警察は564人を殺害した。警察による人権侵害として決して忘れてはならない出来事だ。
アムネスティは当時、この出来事を調査したが、17年経った今も犠牲者の遺族は、真実と正義を手にできず、賠償も受けられていない。
第三者による警察活動の監視を
捜査で多数の死者が出る事態が続く背景には、警察活動が外部の監視を受けないことがある。警察を監視する責任を負う検察庁は、警察による一連の殺害を徹底的に捜査し、警察幹部を含む、殺害に関与した関係者全員を特定し、それぞれの責任を問わなければならない。
また、警察による人権侵害に歯止めをかける上で必要な対応を取り、犠牲者とその家族、また違法捜査の影響を受けた住民に十分な賠償金を支払うことも求められている。
アムネスティ・インターナショナル、ウラジミールヘルツォーク研究所、コネクタス・ヒューマンライツ、ヒューマン・ライツ・ウオッチの4団体は8月4日、サンパウロ州検察庁に書簡を送り、「エスクード作戦」中の警察の殺害行為への調査を求めた。
アムネスティ国際ニュース
2023年8月8日
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