- 2023年3月 5日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:
香港で民主派活動家47人が、国家安全維持法(国安法)違反で国家転覆共謀に問われている裁判が、2月2日に始まった。同法違反としては過去最大規模で、当局による卑劣で不当な対応を象徴する裁判になっている。
裁判は、国案法が本質的に人権を侵害するものであるということを示している。所属政党の非公式の「予備選挙」に参加したというだけで、終身刑を受けるおそれのある被告もいる。
被疑者は、やってもいない罪を認めて刑期の短縮を求めるか、国安法をめぐる負け戦をするか、厳しい選択を迫られている。
被疑者47人のほとんどは法廷に立つことなく2年間も勾留されてきた。国家の安全に関わる事案では、事実上保釈を認めないという異常なほどに厳格な保釈基準に基づく。裁判の結果がどうであれ、この不当な長期勾留で失った日々は取り戻すことはできない。
香港政府は、今回の一斉裁判に象徴されるように、市民の政治参加を徹底排除してきた。そんな中でこの訴追に抗議する市民が、身の危険を知りつつ傍聴に来た事実は、当局が市民の行動を完全に封じ込むことはできないことを示している。
香港政府は、拘束への不安を抱くことなく、市民が自由に意見を言えるようにすべきだ。政治的に異なる立場に立つことが罪になるはずがない。
47人の容疑は、反政府的意見が国の安全保障の脅威となるという決めつけに基づく。同様の容疑でこれまでに拘束されてきた人たちに対しても、容疑の取り下げと釈放手続きを取るべきだ。
背景情報
47人は、2020年の立法会選挙に向けた予備選の実施や予備選への参加で、国安法の国家転覆容疑に問われて、2021年3月に起訴された。前代未聞の一斉起訴だった。予備選は結局、中国政府が立候補者を厳格に審査する選挙制度を導入したため、無期限に延期された。
キャリー・ラム行政長官(当時)は、「予備選は違法で、数週間前に制定された国家安全維持法に抵触する可能性がある」と警告していた。
各政党が選挙の候補者を選ぶために実施する予備選を、香港の存続、領土保全、政治的独立に対する脅威とみなすのは、国際人権法が定める国家の安全に関わる基準とは相容れない。
アムネスティ国際ニュース
2023年2月6日
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