- 2023年1月16日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:
- トピック:気候変動と人権
EU(欧州連合)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」の報告によると、昨年の気温上昇は世界的には過去5番目、欧州では過去2番目に気温が高い年だった。また、大気中の温室効果ガスの量は、これまでで最も多かった。
これらの事実は、気候危機が深刻になっていることを示している。実際、昨年は気候変動の影響で強度を増したとみられる異常気象が世界で発生し、数百万人が被害を受けた。パキスタンやアフリカの南部・西部の国々では洪水、東アフリカでは干ばつ、中国やインドでは熱波、欧州では高気温、キューバとフロリダではハリケーンに見舞われた。
気候変動が加速していることが明らかであるにもかかわらず、ほとんどの国や企業が化石燃料の生産を拡大し続け、脱炭素戦略や脱炭素への移行措置を取っていない。昨年の気候変動対策会議(COP27)では、参加国が化石燃料の利用停止に難色を示し、人権の擁護や健康的で安全な環境に対する普遍的な権利の保護に背を向ける結果となった。
今後1年、気候変動対策を打たないまま、事態を傍観している余裕はない。各国が化石燃料利用量の段階的削減を約束し、排出量の拡大に歯止めをかける年にしなければならない。すべての国、特にこれまでの二酸化炭素排出量が多い国は、気候変動を引き起こす化石燃料への依存を断ち切る対策を取らなければならない。
背景情報
コペルニクスが1月10日に公表した報告によると、昨年の世界の年平均気温は、基準期間である1991年~2020年の平均より0.3度高く、産業革命前のデータとして使われている1850年~1900年の期間よりも約1.2度高かった。2022年の大気中二酸化炭素の年平均濃度は417ppm、メタンは1894ppmだった。
アムネスティ国際ニュース
2023年1月10日