- 2022年11月23日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:
パレスチナ系米国人記者シリーン・アブ・アクレさんが今年5月、取材中に射殺された事件で、米国司法省はFBIによる捜査の開始を決めた。アクレさんは、数十年にわたりパレスチナ人をめぐる問題を取り上げてきた記者として知られている。
捜査は歓迎されるが、アクレさんの家族はFBIによる独立した徹底的捜査を求めており、その思いに応える捜査が必要だ。
今後、イスラエル軍によるパレスチナ人の違法な殺害を阻止するためにも、今回の殺害への捜査と処罰は欠かせない。また、アクレさんを始めとして、これまでイスラエル軍の犠牲になったパレスチナ人のためにも、真相究明が必要だ。
今年に入り、ヨルダン川西岸地区でイスラエル当局によって殺害されたパレスチナ人は、アクレさんを含め125人にのぼる。そのほとんどが、警察の作戦や強制捜査中に起きている。人道に対する罪であるアパルトヘイトの抑圧が暴力的に推し進められた結果だ。
正義と人権を重んじる国は、イスラエル当局にアパルトヘイト制度の解体と当局に対する責任追及を求めて、圧力をかけていかなければならない。また、パレスチナでイスラエル軍が殺人を犯しても罪に問われない事態が続く中、米国を含む各国には、国際刑事裁判所による捜査への支持が求められる。
アクレさんのために、そしてイスラエル軍によって違法に殺されてきたパレスチナ人のために、これからも正義を求めていかなければならない。
背景情報
アクレさん殺害に関してイスラエル当局は、捜査も訴追もしていない。殺害事件後まもなく、イスラエル軍は内部捜査を始めたというが、9月の報告では、「撃った銃弾の出所(でどころ)の明確な特定はできなかった」と結論づけた。軍の声明は、「アクレさんが偶然イスラエルの銃弾に当たった可能性が高く、憲兵隊に対する捜査の開始を正当化するものは何も見つからなかった」というものだった。
イスラエルの団体イエシュ・ディンの分析によると、2019年から2020年にパレスチナ人が起こした法的な申し立てでイスラエル兵士が刑事訴追されたのは、わずか2パーセントにすぎなかった。
アムネスティは今年2月に発表した報告書で、違法な殺害が国際法のアパルトヘイトを構成する要素であることを明らかにしている。
アムネスティ国際ニュース
2022年11月15日
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