- 2022年11月 7日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:性的指向と性自認
ロシア連邦議会の国家院(下院)の第1読会で10月27日、未成年に「非伝統的な性的関係」に関する情報提供を禁じた同性愛宣伝禁止法の対象を全年齢層に拡大した法案が通過した。
ロシアで抑圧が強まる中、国家公認の同性愛への嫌悪が、これまでになく高まるおそれがある。新たな同性愛宣伝禁止法案は、あからさまにLGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)の人びとの表現の自由を奪い、LGBTI差別を助長するだけでなく、LGBTIの人びとへの襲撃など憎悪に基づく犯罪の増加につながりかねない。
政府は9年前、有害な情報から若者を保護する名目で、未成年者への「非伝統的な性的関係」の宣伝を禁止する法律を導入した。しかし、この名目は新法の審理が進む中で完全に葬られてしまった。
もし成立すれば、LGBTIを支援するNGOの閉鎖やLGBTI関連のウェブサイトの遮断、SNS投稿への圧力、高額な罰金による活動家への威嚇などに使われる可能性が非常に高い。同性愛嫌悪と同性愛者への差別がさらに助長されるのは、間違いない。LGBTI関連の映画や書籍が禁止され、LGBTIの人びとが排除されるなど、人権が新たな受難の時代を迎えるだろう。
背景情報
法案は残る2回の読会を経て、数日以内に開かれる議会両院の承認とプーチン大統領の署名を受けて施行される。
同法に違反した場合、罰金刑が科される。個人には5万から40万ルーブル(約12万円から95万円)、団体には最高500万ルーブル(約1,200万円)の罰金だ。
最も重い罰則が科されるのは、メディアやインターネットを通じで未成年者と情報共有する行為や、外国人あるいは無国籍者が行った場合である。
アムネスティ国際ニュース
2022年10月27日
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