- 2021年11月25日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:中国の人権
© Getty Images
中国のプロテニス選手・彭帥(Peng Shuai)さんが、張高麗前副首相から性的暴行を受けたとして、11月2日にSNS微博(ウェイボー)で告発したが、その時以来、本人が消息不明になっていることに懸念が高まっている。
中国政府はこれまで、性的被害の撲滅を訴える「#MeToo」運動を封じ込めてきた。政府批判に対して厳しい姿勢を取っていることを考えると、彭帥さんが消息不明となっているとされるのは、極めて憂慮される。
彭帥さんは最近、「全然大丈夫」と言ったとされるが、額面どおりには受け取れない。なぜなら、中国の国家メディアは、これまでも当局の意に沿うコメントを強要し、あるいはコメントを捏造してきた経緯があるからだ。彭帥さんの無事と居所が確認できるまでは、これらの懸念は払拭されないだろう。
現在のところ、彭帥さんが消息不明になっている背景を推測するのは難しい。しかし、明らかなことは、元政府高官が警察の取調べを受けなければならないことだ。
彭帥さんが置かれている状況は、中国で性犯罪被害者の女性が訴えた場合、当局からどんな扱いを受けることになるかを物語る。告発しても相手にされないどころか、しばしば、当局につけ狙われることになる。
背景情報
彭帥さんの告発の投稿をめぐる書き込みは、素早く消され、現在は読むことはできない。彭帥さんが、最初に投稿した「あなたは、私を自宅に連れていき、性的関係を迫った」という文面は、削除された。張高麗前副首相は、2013年から2018年まで副首相を務め、習近平国家主席の盟友とみなされている。
彭帥さんの消息は、微博への投稿以降、不明だ。ただ、国営の中国国際テレビ(CGTN)が公表した、本人が当局のテニス関係者に送ったとされるメールには、「(告発した性的被害は)事実ではない」、「(私は)全然大丈夫」などとあった。
中国ではこれまで、人権活動家に強要した「声明」が、本人の発言として公表されてきた。拘束された人権派弁護士、王宇(Wang Yu)さんや江天勇(Jiang Tianyong)さんが「自白」する様子が国営テレビで放映されたのも、その一例だ。
アムネスティ国際ニュース
2021年11月18日
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