- 2021年2月18日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:パキスタン
- トピック:死刑廃止
(C) Amnesty International
パキスタン最高裁判所は2月10日、精神疾患を持つ死刑囚2人の刑を減刑する判決を言い渡した。精神疾患者への死刑の適用を否定する判決は、死刑制度だけでなく精神衛生に対しても画期的と言える。
ただ、イムダド・アリさんとカニザン・ビビさんは、いずれも重い精神疾患の病歴が明らかになった時点で、死刑判決は取り下げられるべきだった。
今回の判決により、精神疾患を持つ者あるいは精神疾患の可能性がある死刑囚の執行がなくなる。
今後は、死刑制度そのものを廃止すべきであり、パキスタン政府はそれに向けた第一歩として、2014年12月に解除した死刑執行停止を再び宣言すべきだ。
背景情報
人権団体「正義プロジェクトパキスタン」によると、殺人罪に問われていたイムダド・アリさんとカニザン・ビビさんは、統合失調症と診断されていたにかかわらず、それぞれ1991年と2002年に死刑が確定した。統合失調症を患っているとして、死刑執行の停止命令が出されるまで、何度も死刑執行命令が出されていた。
最高裁判所の裁判官は、2月10日に死刑の減刑を言い渡すにあたり、次のように語った。「これまでの議論を考慮し、精神疾患の囚人が、罰を受ける理由を理解できないことが判明したならば、執行は、正義を果たすことにはならない」
アムネスティは、生きる権利を侵害し、残虐かつ非人道的、品位を傷つける究極の刑罰である死刑に例外なく反対する。
アムネスティ国際ニュース
2021年2月10日
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