- 2021年1月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:タイ
- トピック:
(C) Lauren DeCicca / Getty Images
不敬罪とコンピューター関連の罪に問われていた元公務員のアンチャン・Pさんが、43年6カ月の禁錮刑を言い渡された。
アンチャンさんは、インターネットのトーク番組で王室を冒涜したとされる発言や動画をソーシャルメディアに投稿して不敬罪に問われ、一旦は87年の実刑を言い渡された。かつてない長期の量刑は、29件の投稿が罪に問われ、1件につき3年の刑が適用されたからだ。ただ、アンチャンさんが罪を認めたため、実際は87年の半分の43年6カ月となったが、いずれにしても重い刑には変わりはない。
タイでは、王室に批判的な発言に対する摘発が急増し、反政府派に対する弾圧が強まっている。今回の量刑はその一環であり、なぜ不敬罪が国際人権法に相反しているかを示している。そもそも誹謗中傷は、刑罰の対象になりえないし、重い量刑は論外だ。
アンチャンさんは、2015年に逮捕された後4年近くも勾留された。時に外部との連絡を断たれることもあった。裁判での量刑の判断も常軌を逸している。容疑の対象件数を増やして、刑期を長くしようとしたのは明らかで、5,000万人とも言われる国内のインターネットユーザーへの威圧でもある。
タイ当局は、政府批判への抑圧をやめ、オンラインでも街頭でも表現の自由を抑圧する法律の廃止か大幅な改正をすべきだ。
背景情報
2020年、反政府抗議が激しさを増す中、タイ当局は11月、2018年3月から適用してこなかった不敬罪の適用を再開した。昨年、平和的だったにもかかわらずデモに参加して刑事罰に問われた人は220人を超え、そのうち数十人は、扇動罪や不敬罪の容疑に問われた。
タイは、表現の自由の権利を保護する市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)の締約国だ。規約の実施を監督する国連自由権規約委員会は、不敬罪など中傷や誹謗行為に対して「禁錮刑は適切な刑罰では決してない」と述べている。
アムネスティ国際ニュース
2021年1月19日
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