- 2021年1月13日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:
(C) AFP/Getty Images
香港の民主派の元議員や活動家などおよそ50人が1月6日、香港の国家安全維持法(国安法)違反で逮捕された。香港政府は、民主派の一斉逮捕で、体制に刃向かえば国安法の国家転覆罪に問われることを具体的な形で示した。
昨年6月に施行された国安法で、中国と香港政府はいかなる反対意見も封殺し、いかなる政権批判者も投獄する自由裁量を持った。今回の大規模な摘発は、適用範囲が広いこの法律が、本来香港政府の脅威にはならない場合でも適用されかねないことを浮き彫りにした。
民主派の元議員や活動家は、立法会(議会に相当)選挙に向け非公式の「予備選」を行っただけで、国家転覆容疑に問われている。表現と結社の権利が危機にさらされたのだ。また、香港市民には、予備選という催しに参加する権利があるが、それも踏みにじられた。
香港政府は、反対派というだけで摘発したり、圧力を加えたりすることをやめなければならない。国際的に犯罪とされる行為を行ったことが明らかでなければ、逮捕された人たちを直ちに釈放すべきだ。
背景情報
昨年7月、民主派陣営は、立法会選挙の候補者を絞り込むための予備選を実施した。候補者を絞り込むことで、選挙で過半数の35議席以上を確保する狙いがあった。9月に予定されていた選挙は、新型コロナウイルス感染のために延期された。
報道によると、今回逮捕されたのは、予備選に出馬した元議員や地区評議員、選挙に関わった法学者や弁護士、投票を技術的に支援した人物らで、国安法の国家転覆違反に問われている。
雨傘運動の元学生リーダーで、現在収監中の黃之鋒(ジョシュア・ウォン)さんは、自宅が家宅捜査を受けたことをツイートした。香港紙「リンゴ日報」は、警察から予備選候補者の連絡先を求められた。
昨年予備選が実施された時、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、「予備選は、国家安全維持法違反にあたる」と警告していた。
アムネスティ国際ニュース
2021年1月6日
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