- 2020年8月19日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:トルコ
- トピック:女性の権利
イスタンブール条約(女性に対する暴力およびドメスティック・バイオレンス防止条約)をめぐり、近々、トルコの与党、公正発展党(AKT)が条約からの離脱に向けた議論を始めるが、トルコが目指すべきは離脱ではなく、条約の完全な実施だ。
イスタンブール条約は、女性に対する暴力や家庭内暴力の撲滅に狙いを定めた初の欧州条約だ。2011年5月、イスタンブールで署名が開放され、45カ国が署名、34カ国が批准して、2014年8月に発効した。最初に批准したのはトルコで、これまでに批准を撤回した国はない。
トルコが、イスタンブールという自国の都市名を冠した条約からの離脱を検討しているのは、なんとも皮肉だ。
新型コロナウイルスの感染対策としてのロックダウン(都市封鎖)などで、女性や少女の在宅時間が増え、家庭内暴力の被害届が急増する一方で、被害者は外部からの保護や支援を受けづらくなっている。
最近は、男性パートナーらによる女性の殺人や強かん事件も複数件、発生している。
女性に対する暴力や家庭内暴力、殺人や強かんが増えているというこの時期に、条約脱退を論議するのはあまりにも不穏当といえる。
批准を撤回して脱退すれば、国内数百万人の女性らにのしかかる不安や被害の拡大、また、被害者支援団体に与える影響は、計り知れない。
脱退を議論すること自体が、身の安全に不安を覚える女性らに大きな動揺を与えている。
トルコは、イスタンブール条約の初の脱退国になるのではなく、条約の完全実施に向け、女性や少女の権利を保護・促進する措置を早急に取るべきだ。
アムネスティ国際ニュース
2020年8月5日
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