- 2019年10月17日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:アンゴラ
- トピック:
アンゴラ南西部で牧場開発のために土地を追われ、干ばつで追い打ちをかけられた牧畜民数万人が、飢死寸前の状況にある。
2002年の内戦終結後、アンゴラ南部のウイラ州ガンボスの牧畜民が昔から受け継いできた肥沃な牧草地帯が、畜産開発が推し進められる中で国によって畜産業者に割り当てられた。
肥沃な土地を奪われ、枯れた土地だけが残された牧畜民が、自生する植物を口にし、さらに干ばつに見舞われて、食うや食わずの事態に追い詰められている。アムネスティの現地調査でわかった。
アンゴラを襲った干ばつで、牧畜開発で土地を奪われた畜産農家が被る壊滅的な影響があらわになった。農家は、肥沃な牧草地を失った上に干ばつに襲われ、空腹の子どもを抱えた親たちは、なすすべもない。
国は、農家の権利、とりわけ食糧の権利を保護する対策を取ってこなかった。牧畜民は、肥沃な土地を奪われ、残された不毛の土地を前に自生の植物などを食んでかろうじて命を繋いでいる。そこに追い打ちをかけたのが干ばつだ。自生の葉っぱもなくなり、口にするものがなくなった。
飢えと餓死は、ガンボスで暮らす伝統的な牧畜を営む人びとの間に広まっていた。同国の「ミルク地域」と呼ばれるこの地域は、牧畜と乳業が盛んで、人びとの貴重な生活手段だった。
葉っぱで飢えをしのぐ
降雨量が少なく、周期的な干ばつが頻繁に起きるガンボス地域では、肥沃な牧草地が、人びとを干ばつから守る大事な役割を果たしてきた。その土地が、国から取り上げられて畜産業者に渡された。牛乳、チーズ、ヨーグルト、肉の生産が、牧畜民の主な収入源だが、土地を取り上げられた後は、食物の育成や放牧には適さない不毛な土地だけが残された。
人びとはアムネスティに、「食べ物は自生の葉しかない」と嘆いた。畜産農家の多くが病気や下痢で苦しめられ、水不足と衛生状況の悪化で皮膚病も患うという。
放牧地も農地も失う
公開情報に基づけば、畜産業者が占有する牧草地は、全体の67%(2,629km2)だが、昔ながらの牧畜農民の牧草地は、33%(1,299km2)しかない。しかも、業者は、肥沃な土地ばかりを割り当てられた。
アンゴラ南西部のクネネ州、ウイラ州、ナミベ州の3州の牧畜民は、正当な手続きもなく何百年も受け継いできた共同牧草地を取り上げられた。地元の住民には何の補償もなく、ウイラ州のツンダ・ドス・ガンボスとバレ・デ・チンボレラの2地域は畜産業者に供与された。
同国の憲法は、土地の接収にあたり、対象となる住民との十分な協議を義務付けている。
アムネスティは報告書の中で、アンゴラ政府に対して以下の3点を求めた。飢えに瀕している村落への緊急食料援助、業者への土地供与の一時停止、畜産業者がウイラ州ガンボスの肥沃な牧草地を取得した経緯を調査する委員会の設置だ。
アムネスティはさらに、アンゴラ政府に対し、当事者の畜産民に補償金を支払い、ガンボスで飢饉に直面する人たちへの早急な対応を求めている。
アムネスティ国際ニュース
2019年10月15日
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