- 2019年9月 8日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:子どもの権利
IT大手のグーグル傘下の動画サイト「ユーチューブ」が、保護者の承諾なく子どもの個人情報を収集していた問題で、米国連邦取引委員会(FTC)は9月4日、1億7000万ドル(約180億円)の制裁金を科すことでグーグルと和解した。また、同社に個人情報の取り扱いを改めるよう命じた。
FTCの対応で、収集した個人情報を収益化するグーグルのビジネスモデルに重大な欠陥があることが露呈した。インターネットの広告慣行には、その仕組みが複雑で不透明なため、利用者側は、個人情報の取り扱いに対して納得感のある承諾ができないという重大な問題がある。
IT大手企業は、個人のプライバシーの権利を損なうことで利益を得ていると言える。
個人情報の不正利用を巡っては、フェイスブックが摘発されたばかりだが、今回はグーグルである。これは、大量の情報を収集するIT大手企業が、長らく不正を指摘されないまま、無軌道に行ってきた組織的問題である。
ようやく今回FTCが制裁を科したわけだが、昨年、136憶ドル(1兆4500億円)の収益をあげた企業にとっては、取るに足らない金額である。
各国には、IT大手が作り出す人権のリスクに対処する上での取り組みの強化が求められる。
背景情報
FTCとの和解を受けて、ユーチューブのCEOは、子どもの動画閲覧情報の収集と商品の広告表示を停止すると発表した。
FTCが和解を発表する直前、ファイナンシャル・タイムズは、グーグルが秘密のウェブサイトを利用してユーザの個人情報を不正に収集していると報じた。
この報道に対して、グーグル広報担当者は、次のコメントを出した。「利用者の同意なしにパーソナライズド広告(利用者の属性や行動履歴に基づいて配信する広告)を表示したり、ビッドリクエスト(こんな利用者が閲覧しているが、ここに広告を表示させるか、という入札リクエスト)を広告購入希望者に送信してもいない」。さらに、「グーグルは、アイルランドと英国で、自社の広告事業に対する当局の捜査に協力している」とも語った。
各国には、法律や監視などで人権を保護する義務がある。一方、企業には、人権を尊重する責任がある。企業は、人権侵害を引き起こす、あるいは人権侵害につながる行動を取ってはならない。また、人権リスクを特定し、対処する対策を講じなければならない。
アムネスティ国際ニュース
2019年9月5日
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