- 2019年6月12日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:スーダン
- トピック:
6月3日、スーダンのハルツーム州で、暫定軍事評議会に対し民政移管を求めて座り込みをしていた市民を、治安部隊が発砲や放火などで暴力的に排除した。死者13人、負傷者100人以上を出し、今後さらに増えそうだ。この事態を受け、アムネスティは国際社会に対し、あらゆる平和的な手段で暫定軍事評議会に圧力をかけるよう要請した。
圧政で数十年も民衆を苦しめたバシール前大統領の失脚で、人権を尊重する新たな時代が来るはずだった。
しかし、座り込み参加者の暴力的排除で、その期待は打ち砕かれ、軍主導の暫定政権に対する民衆の信頼も完全に失われた。
アムネスティは暫定軍事評議会に対して、治安部隊による鎮圧を即刻停止し、今回の襲撃を行った者たちの責任を問うよう求める。
また、国連安保理は直ちに、襲撃に関与した暫定軍事評議会のメンバーらに、制裁措置を含め、圧力をかけることを検討すべきである。
さらに、アフリカ連合平和安全保障理事会は、スーダンでの事態に対処し同国での人権保障を確実なものとするために緊急会合を開くべきである。
背景情報
スーダンでは物価上昇に端を発した抗議デモが広がる中、軍によるクーデターで4月に長期独裁政権が倒れた。その後、軍が評議会を設置し暫定統治を宣言すると、今度は文民政権への速やかな移行を求めるデモが各地で起きている。
今回暴力的に排除された軍本部前の座り込みは、4月9日に始まった。
5月30日、暫定軍事評議会が、「座り込みの中に手に負えない分子が入り込み、デモ参加者への脅威になっている」との声明を出した。在外公館には、座り込みの場所には近づかないよう求める文書を送った。
6月3日午前3時、治安部隊が出動したという情報が、昨年来デモを主導してきたスーダン専門職組合から、座り込みの参加者に伝えられた。
6月3日午前4時半、数百人の治安部隊が100台以上の車両で乗り込み、寝ぼけ眼の人びとを、発砲や暴行、放火などで強制排除した。わずか30分ほどのことだった。
同日、暫定軍事評議会の担当者は、スカイニュース(イギリスのニュースチャンネル)のインタビューで、治安部隊による「手に負えない分子」への襲撃は認めたが、座り込み参加者を襲ったことは否定した。
他の3つの地域で抗議の座り込みに参加していた人びとも、治安部隊の襲撃を受けたということだった。
アムネスティ国際ニュース
2019年6月3日
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