- 2019年6月12日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:性的指向と性自認
エルトン・ジョンさんの半生を描いた映画『ロケットマン』の同性者間の愛情表現の場面が、検閲によってすべて削除されていた。一般公開に先立つ試写会でわかった。
同性愛宣伝禁止法が、表現の自由を侵害し、同性愛嫌悪を助長していることを示す新たな事例である。
同性愛者嫌悪が引き起こす検閲は、LGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)の人びとをはじめ、尊厳を求め差別と闘うすべてのロシアの人びとへの侮辱である。
2015年には、エルトン・ジョンさん自らが、プーチン大統領の同性愛に対する姿勢を変えることに意欲を示していただけに、皮肉なことになった。
検閲による同性間の愛情表現の削除は、同性同士の関係を貶め、人間らしさを奪っている。配給会社は、直ちに削除した部分を元に戻すべきだ。
徹底した削除ぶりは、映画配給会社が、法律で求められる以上に手を加えたのではないかと思わせる。
2013年に成立した同性愛宣伝禁止法は、非伝統的性的関係に肯定的な「有害」情報から未成年者を保護する名目で、公共の場での同性愛表現を事実上禁止している。ただし、制限の対象は、未成年者であり、成人ではない。『ロケットマン』は、R18+(18歳未満の鑑賞禁止)に指定されているため、未成年者が「同性愛宣伝」にさらされることもないはずである。
背景情報
「ロケットマン」は、ロシアでの6月6日の公開に先立ち、試写会が5月30日にモスクワで行われた。
国外ですでに見ていた映画評論家らによると、男性同士のキスシーンや性描写がすべて削除されているほか、薬物を使用する場面も削除されていたという。
また、エンドロールにあった、エルトン・ジョンさんと夫のデービッド・ファーニッシュさんの2人の顔と「ミュージシャンは最後に本物の愛に出会った」という字幕も削除されていた。
アムネスティ国際ニュース
2019年5月31日
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