- 2019年3月28日
- [日本支部声明]
- 国・地域:日本
- トピック:日本の難民・移民
3月27日、法務省が2018年度の難民認定者数等を発表しました。
日本で難民として認定された人の数が前年に比べて2倍の42人であったことは、日本での難民受け入れ拡大を求めているアムネスティ・インターナショナル日本として、歓迎します。
しかし、紛争や迫害や暴力などのために自国を逃れざるを得なかった人の数は、年々増えており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、2018年6月末時点で難民・庇護希望者の数は2,400万人を超えています。自国に保護してもらえない・保護を求められない人を国際社会全体で保護するというのが、国際的な難民保護体制の基本的な考え方です。その点に鑑みると、日本での受け入れは極端に少なすぎると言わざるを得ません。
一方、2018年の難民認定申請者数は、前年度47%減の10,493人でした。2010年に難民認定申請者に就労を認める制度変更をした後に申請者が急増したことを受け、法務省は「誤用・濫用的な申請を抑制し、真の難民の迅速な保護に支障を生じさせないようにするため」に2018年1月に運用を見直しました。申請者数減はこの対策が奏功したと、法務省は示唆しています。しかし、アムネスティ日本が入手した入国管理局の内部文書によれば、ある国の出身者の「難民申請者数は増加の一途にあり、一層慎重かつ厳格な審査を行い、当該申請の縮減につなげることが急務である」と書かれています。アムネスティ日本は、数を管理する観点で難民認定制度が運用されていることに、強い懸念を表明します。同文書ではまた、「難民認定申請者の多い国籍者に対する厳格審査を指示し、実施している」ともあります。特定の国を標的にすることが出身国差別であることは、言うまでもありません。
法務省は難民認定にあたり「個別に慎重に判断している」と主張しますが、果たしてそれが適切に実施されているのか、不公平・恣意的に行われているのではないか、という疑念は拭えません。
難民認定においては、管理目線でなく、難民の保護が真の目的であるとの観点に立ち、公平な審査が行われるよう、アムネスティ日本は日本政府に求めます。
2019年3月28日
アムネスティ・インターナショナル日本
極端に少ない難民認定者数(2019年3月更新)
2018年に日本で難民認定申請をした人は10,493人、そのうち難民として認定されたのは42人、人道的な配慮から在留が認められたのは40人でした。申請者数は昨年に比べて半減し、認定者数は倍増しましたが、申請した人の99%以上が日本での在留が認められなかったことになります。
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