- 2018年10月30日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:サウジアラビア
- トピック:
ジューナリストのジャマル・カショギさんの殺害をめぐり、サウジアラビアは、世界から注目されている。トルコのエルドアン大統領は、イスタンブールのサウジ領事館に入った後、死亡したとされるカショギさんについて、残忍な方法で殺害されたという見解を示した。 国家による人権侵害は、サウジアラビアではめずらしいことではない。ここでは、特に注目すべき10の事例を挙げる。
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イエメン空爆で市民が犠牲に
イエメン軍を支援するサウジアラビア主導の連合軍は、この3年半の間、学校、病院、住宅などを空爆し、数千人もの市民が犠牲になっている。アムネスティは、連合軍による戦争犯罪など、度重なる国際人道法違反の事実をつかみ、明らかにしてきた。 一方、米国、英国、フランスなどの国々は、サウジアラビアとの武器取引で多大な利益を稼いだ。
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容赦なく弾圧される活動家
モハメド・ビン・サルマン皇太子が政権に就いて以来、表現、結社、集会の自由の権利を行使する活動家らの多くが逮捕され、投獄されてきた。当局は、テロ防止法やサイバー犯罪法を適用するなどして、人権侵害を訴える人たちを徹底的に抑圧してきた。
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女性の権利活動家の拘束
今年初め、女性の権利を擁護する人たち多数が、逮捕された。当局は5月以来、ルージャイ・アル=ハスルールさんら活動家6人を拘束している。政府系報道機関は、彼女たちを反逆者呼ばわりし、激しい誹謗中傷キャンペーンを展開している。彼女たちは、有罪になれば、長期間、投獄されるおそれがある。
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公開処刑
サウジアラビアは、毎年多数の死刑執行が行われる死刑大国だ。今年は、これまでに108人が処刑された。そのほぼ半数が、薬物関連の罪だ。多くの処刑が、公衆の面前での斬首だ。 死刑は、生きる権利の侵害であり、残虐で非人道的、人間の尊厳を傷つける刑罰だ。加えて同国の問題は、その裁判が著しく不公正なことだ。
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残虐で非人道的な刑罰
刑罰の多くは、むち打ちである。ライフ・バダウィさんは、ブログの投稿がもとで実刑10年とむち打ち1,000回を宣告された。複数の罪では、刑罰として究極の拷問である手足の切断が科される。
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拘束中の拷問が常態化
拘束された人たちの話によれば、治安部隊による虐待や拷問が横行している。暴行を加えた者や関係者が処罰されることは、まったくない。
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女性に対する深刻な差別
女性に対する差別は、今なお根強い。法的に女性は男性に従属し、後見人制度の下、結婚、離婚、親権、相続などにおいて、自己決定権がなく、後見人の親族男性に委ねなければならない。
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根強い宗教的差別
同国のイスラム教で少数派であるシーア派は長年、公的サービスや雇用面などで差別を受けてきた。多くのシーア派活動家が、2011年から翌年にかけて、反政府デモに参加したとして、死刑や長期の実刑判決を受けた。
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国外機関に訴えれば処罰
活動家や人権侵害の被害者家族が、アムネスティなどの人権団体や外国の外交官や記者と接触したことが当局に知られると、処罰される。
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カショギ事件は国連に
アムネスティは、国連事務総長に対してカショギさんの殺害事件の真相究明のための独立調査を求めている。
アムネスティ国際ニュース
2018年10月23日
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