- 2018年10月19日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:トルコ
- トピック:
アムネスティ・インターナショナルなど人権4団体は、トルコ政府に対して、サウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギさんがサウジ総領事館で消息不明となった事件について、早急に国連に付託するべきだと提言した。4団体は、ジャーナリスト保護委員会、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナル、国境なき記者団。
カショギさんのトルコ人婚約者によると、彼は10月2日、婚姻届書類の入手で総領事館に入るとき、婚約者に携帯電話を渡し、2時間経っても出てこなければ、トルコ当局に届けるよう言い渡したという。これが、カショギさんとの最後の会話となった。
同日、トルコは捜査を開始すると発表し、5日には、領事館内の現場検証をした。メディアが得た捜査情報では、領事館内での殺害を示す音声や映像が見つかったという。トルコ当局は、総領事館内で殺害・切断されて運びだされたという見方を示した。
サウジアラビア政府は当初、「カショギ氏は、その後領事館を出ていった」として事件への関与を否定したが、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は10月15日、関係機関に捜査を命じた。
しかし、関与が疑われ、捜査当局の独立性がないサウジアラビアに、公正な捜査を期待することはできない。
このような事件の真相究明と説明責任には、独立した機関による公正で透明性ある調査が不可欠だ。その信頼性と独立性を確保できるのは、国連だけである。
トルコは、調査を国連に託すべきだ。
国連に付託することで、サウジアラビアや同国との良好な取引関係の維持を目論む国による、ごまかしや隠蔽を排除することができる。
国連の調査では、事件の関係国は、国連の調査に全面的に協力する必要がある。国際条約に基づく外交特権を行使せず、調査員らの各所への立ち入りと関係者の聞き取りを認めなければならない。国連人権高等弁務官は、すでに本件での外交特権の取り消しを求めている。
サウジアラビアが自らの関与を否定するならば、国連の調査は、その潔白を明らかにする機会になる。
一方、国連は、ジャーナリストが犠牲になる事件で、加害者責任が問われないという国際的な問題に本気で取り組むのであれば、サスペンス小説を地で行くような今回の事件を避けてはならない。
また、調査団には、国際舞台での捜査経験が豊富な捜査官を充て、調査後は調査結果を公表し、関係国への提言をするべきだ。また、加害者裁判への道筋を示すことも期待される。
カショギさんの婚約者や家族だけでなく、国際社会が事件の真相究明を求めている。
2017年6月にムハンマド・ビン・サルマン皇太子が就任して以降、当局は政府批判への弾圧を強化してきた。
政治の腐敗や女性の権利などの人権の擁護・促進を訴えた学者やジャーナリストら多数が、不当に逮捕され、何カ月も拘束されてきた。
サウジアラビアでジャーナリストをしていたカショギさんは一昨年12月、米国ワシントンで当時大統領候補だったトランプ氏を批判して、サウジ当局から激しい非難を受けることとなった。昨年6月に米国に逃れ、その後、ワシントン・ポストに定期的に寄稿していた。
アムネスティ国際ニュース
2018年10月18日
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