- 2018年10月11日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:カメルーン
- トピック:地域紛争
大統領選挙を控えたカメルーンの極北州と英語圏の州(北西州と南西州)では、治安部隊や分離武装グループ、ボコ・ハラムなどによる襲撃で、今年だけでも市民数百人が殺され、数千人が土地を追われるという事態に陥っている。
次期政権は、これらの州の人びとが置かれている過酷な人権状況に背を向けず、彼らの保護に早急に取り組むべきである。
同国の3地域では、長らく、拘束、拷問、拉致、殺害など数々の人権侵害が行われてきたにもかかわらず、誰も罪を問われていない。この不処罰の歴史に、直ちに終止符を打つ必要がある。
10月7日の選挙で選ばれた大統領は、今後7年間、政権を担う。現職のポール・ビヤ大統領をはじめ9人が、立候補している。ただ、野党党首を含む政敵数人は、捏造された容疑で拘束されたままだ。
極度に危険な極北州
アムネスティの調べでは、極北州でのボコ・ハラムの襲撃は、今年に入って90件を超えている。その中には5件の自爆攻撃があり、123人が犠牲になった。
昨年は111件の襲撃があり、201人が殺された。襲撃件数は年々減っているとはいえ、状況は予断を許さず、ボコ・ハラムの存在は、市民生活の大きな脅威であることは変わりない。
同州では、23万人以上が国内避難民となり、人道状況に好転の兆しは見えない。また、ナイジェリアからの難民約98,000人も生活する。
超法規的処刑と強制失踪
ボコ・ハラムの対応にあたる治安部隊も、村々で家屋を破壊し、村民を殺害したり、何千人もを容疑者だとして拘束している。最近の例を挙げれば、6月28日に4人を殺害し、2人をどこかに連れ去った。同じ日、軍の兵士も、村人3人に発砲し、別の4人を逮捕、翌日にもさらに2人を逮捕した。その後、うち4人が遺体となって見つかっている。7月には女性2人と子ども2人を殺害し、8月には、非武装の男性十数人を、殺害した。
暴力が蔓延する英語圏
フランス語圏優位の同国で少数派である英語圏地域では、差別的な扱いに対する抗議活動が拡大し、分離独立を求める武装グループと治安部隊との衝突が激化している。アムネスティの調べでは、一昨年10月から始まった武力衝突で、暴力や襲撃などが360件を超えた。この1年で400人以上が死亡し、24万人以上が国内避難民となり、おおよそ25,000人が、ナイジェリアに逃れた。今、その全員が、人道支援を切実に必要とする。
治安部隊は、無用な武力行使、不当逮捕、殺害、村の焼き討ちなど、重大な人権侵害を繰り返してきた。分離武装グループもまた、住民や治安隊員の殺害、拉致、学校の破壊などの違法行為に手を染めてきた。
新政権が、暴力と不処罰の連鎖を断ち切ろうとするならば、治安部隊と武装グループの人権侵害の加担者の特定と処罰、被害者への補償が不可欠だ。
アムネスティ国際ニュース
2018年10月5日
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