- 2018年7月19日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ハンガリー
- トピック:
ハンガリーで7月1日、難民や移民に極めて排他的な一連の法律が発効された。これに対して、EUの行政執行機関である欧州委員会は、EU法に違反するとして法的手続きを開始した。同委員会は、EU人権法に著しく違反するハンガリーの新法の撤回を求めることで、外国人への排他的政策は受け入れがたいという意思を明確に示した。
一連の法律のもと、移民や庇護希望者を支援する弁護士や国際機関、NGOなどは、難民申請手続きへの関与を制限されるおそれがある。また、他国経由でハンガリーに入国した人は、庇護申請ができなくなる。さらに、移民を支援しているとみなされるNGOの資金の25%を奪う特別税の導入などの法改正も採択される予定だ。ハンガリー政府は、難民や移民の権利を守ろうとする個人や市民社会の活動を封じようとしているのだ。
欧州委員会は、これらの法律がEUの、庇護申請・審査の手続きを定めた指令、申請者の受け入れ環境について最低限の条件を定めた指令、難民の資格に関する指令に違反し、また、庇護を求める権利も侵害していると判断した。さらに、域内の市民や家族の移動の自由に関するEU規定にも反するとも指摘した。
欧州各国は、これまでハンガリーの人権弾圧に概ね沈黙を保ってきた。しかし、今回の欧州委員会の対応に呼応して、ハンガリーに排他的法律の撤廃を求めるべきである。政府はまた、批判的意見への抑圧も強めている。個人や家族の表現行為を制限する法改正や、市民の集会開催を認めない権限を警察に与える法律の導入など、表現と集会の自由に対する新たな制限が議会の採択待ちだ。従って、今、声高に異議を唱えることは、以前にも増して重要である。
アムネスティ国際ニュース
2018年7月19日
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