- 2018年7月11日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:性的指向と性自認
香港終審法院(香港における最高級裁判所)は7月4日、政府が同性のパートナーの女性に配偶者ビザを認めないのは違法だとして、政府の上訴を退けた。
香港だけでなく、アジア諸国のLGBTIの人びとにとっても、画期的な判決である。他国で法的に結婚した、あるいはパートナーとして公的に認められた同性カップルは、夫婦と同様の権利を認められるべきだとしたのだ。
政府は入国審査などその政策の執行において、平等の権利を尊重しなければならないと、終審法院がはっきりと示したかたちだ。
政府は今後、同性のカップルがその地位や職業に関係なく、同性にもとづく差別を受けないよう、必要な措置を取らなければならない。また、性的指向、性自認に基づく差別、あるいはインターセックスであるために受ける差別を禁止する包括的な法令を早急に導入すべきだ。誰であっても、その人となりや性向指向にもとづく理由で差別を受けてはならない。
背景情報
QTさんは、同性のパートナーとともに香港に移り住んだ。2人は、英国では法的に認めれられた関係だったが、香港からは配偶者ビザを受けることができなかった。
観光ビザに頼るしかないが、滞在できる期間は短く、仕事はできない。永住資格の取得には時間を要するし、医療費補助など、本来なら受けられるサービスを受けることができない。
香港では、同性婚が法的には認められていないし、結婚に準じる法的地位を認めるパートナーシップ制度もない。しかし、今回、終審法院が、同性カップルを配偶者と認めないのは差別だという認識を示した。裁判所はまた、婚姻には特有の権利と義務がある、という異なる扱いの正当化に使われる考え方を否定した。
国際人権法や国際基準は、性的指向に基づく差別を禁じている。もし、異なる扱いをするならば、その必要性と理由を示さなければならない。
アムネスティ国際ニュース
2018年7月4日
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