- 2018年7月 6日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:エジプト
- トピック:死刑廃止
報道カメラマンモハメッド・アブザイード(通称シャウカン)さん ©Ayman Aref Saad
大量の座り込み参加者を一挙に裁く裁判の判決が7月3日、カイロの裁判所で言い渡される予定(※判決は延期された)で、全員が、死刑のおそれがある。
被告739人の多くが、2013年8月14日にカイロ市内であった抗議の座り込みに参加して、逮捕された。
700人以上を一斉に裁判にかけ、判決を下すのは、著しく不公正であり、憲法違反のそしりを免れない。しかも、全員が死刑を言い渡されるおそれがある。とんだ茶番であり、同国の司法制度に深刻な影を落とすことになる。
739人の多くは、後に非合法化されたムスリム同胞団のメンバーで、無許可の座り込みに加え、違法行為の扇動や違法団体への所属など、いずれかに関与したとして罪を問われている。
しかし、検察側は、1人ひとりの容疑を裏づける証拠をいっさい提出せず、裁判所から容疑の立証を求められることもなかった。いかに不当な裁判かがわかる。
アムネスティは当局に対して、平和的な抗議で逮捕した全員の釈放と起訴の取り下げ、暴行容疑の被告人にも公正な裁判を行い、有罪の場合でも死刑を排除することを求めている。
被告人には、報道カメラマンとして当時、現場にいたモハメッド・アブザイード(通称シャウカン)さんも含まれている。デモを取材しただけのシャウカンさんには、あろうことか、違法集会への参加、殺人、暴行など、24の容疑をかけられている。むろん、それらを裏付ける証拠は、提出されていない。シャウカンさんは取材行為だけで不当に逮捕・勾留されており、アムネスティは、即時無条件の釈放を求めて活動してきた。
2013年8月14日、治安部隊は、カイロのラバ・エル・アダウィーヤ広場とナハダ広場で座り込みをしていた人びとを強制排除し、少なくとも900人が死亡し、数千人が負傷した。この事件では、エジプト治安部隊の隊員は、誰一人として責任を問われていない。
エジプトは、国際人権法に従い、平和的な集会の自由の権利を保障する義務がある。この権利は、同国の憲法でも保障されている。
アムネスティ国際ニュース
2018年6月29日
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