- 2018年6月21日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:タイ
- トピック:死刑廃止
2009年8月以降、死刑執行がなかったタイで6月18日、殺人罪で死刑を言い渡されていた男性(26才)が処刑された。
9年ぶりの死刑執行は、死刑廃止に向けて取り組んでいくと公約してきた同国にとって、大きな後退である。その公約を反故にし、死刑の廃絶に向かう世界の足並みを乱した形だ。
死刑には他の刑罰に比べて特別な抑止効果があるという論理には、根拠はない。従って、執行が犯罪を減らすという当局の思惑は、甚だ筋違いであり、同国が抱える問題の解決につながるわけでもない。
死刑は、残虐、非人道的かつ品位を傷つける究極の刑罰である。
タイは、計画しているすべての死刑の執行を直ちに中止し、死刑廃止を視野に入れた執行停止を実施しなければならない。
背景情報
タイの法務省の発表によると、今年3月現在、死刑囚は510人(うち女性94人)、そのうちの193人は、再審の可能性もない。
国際法は、絶対的法定刑(裁量の余地のない刑罰)としての死刑を禁じ、また死刑を適用する場合は、「最も重大な犯罪」に限定している。
しかしタイではいまだに数多くの犯罪に、死刑が絶対的に科されている。薬物犯罪など、その多くが「最も重大な犯罪」にはあたらない。実際、現死刑囚の半数以上が、薬物関連の罪で死刑判決を受けたもようだ。
また、他の多数の死刑存置国でも、「最も重大な犯罪」以外に死刑が適用されているとみられる。
世界では現時点で、106カ国がすべての犯罪に対して死刑を廃止し、この106カ国含め142カ国が法律上あるいは事実上、死刑を廃止している。
アムネスティ国際ニュース
2018年6月19日
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