- 2018年6月 1日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:
アムネスティのラカイン州内での調査の結果、ロヒンギャの武装集団が昨年8月、ヒンズー教徒の村を襲い、99人を虐殺した可能性があることが明らかになった。
ラカイン州マウンドー郡北部で昨年8月25日、ロヒンギャの武装集団アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)が、治安部隊の施設を襲撃した。治安部隊は大々的な掃討作戦を展開し、ロヒンギャの村々を無差別に攻撃、大量のロヒンギャ難民を生む契機となった。
その8月25日、ARSAは郡北部のロヒンギャ居住地域に近い村(アーナウッカマウンセイッ)のヒンズー教徒たちを襲撃していたのである。
村人を集め、金品を奪い、縛り上げたあげく、数時間後、入手した犠牲者リストによると、男性20人、女性10人、子ども23人の計53人を虐殺した。また、イスラム教徒への改宗に同意した女性8人とその子どもたち8人は、戦闘員とバングラデシュへの逃走を強いられた。女性たちは翌々月の10月、両国政府の支援を得てミャンマーに帰還した。
また同日、隣りの村(イェーバウッチャー)でも、ヒンズー教徒46人全員の姿が見えなくなっていたが、地元では、同じ武装集団に殺害された可能性があるみられていた。この殺害が事実だとすれば、ARSAによる虐殺の犠牲者は、合わせて99人になる。
先の村で犠牲になった53人のうち45人の遺体は、後に見つかったが、残りの遺体ともう一つの村の46人の所在あるいは遺体は、いまだにわかっていない。
ARSAはさらに翌日の8月26日にも、別の村(ミョートゥジー)の近くでヒンズー教徒6人を殺害した。
治安部隊の民族浄化作戦により69万3000人のロヒンギャがバングラデシュへ逃れることを強いられ、現在も留まっている。ラカイン州の他の民族や宗教の集団についても、その多くは、治安部隊の作戦で州内での移動を余儀なくされた。その後、多くは自分の住み家に戻ったものの、自宅を破壊されたり、ARSAの襲撃を受けるおそれがあるため、避難所に住み続けている人もいる。
ARSAによる虐殺行為は、治安部隊の民族浄化作戦が引き金になったとはいえ、言語道断である。
治安部隊もARSAも、殺害など違法行為に関わった者は、法の下で裁かれるべきであり、同時に、殺害された人たちの遺族は、真相を知り、賠償を受けられるようにすべきである。
ミャンマー政府は、国連などのロヒンギャの調査団を受け入れもせずに、国際社会の見方は一方的だと非難するのは筋違いである。第三者による調査が実現しない限り、治安部隊とロヒンギャ武装集団それぞれの残虐行為の真相が明らかになることはない。
アムネスティ国際ニュース
2018年5月23日
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