- 2018年5月24日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:
タシ・ワンチャクさん
青海省・玉樹チベット族自治区の裁判所は5月22日、分離主義扇動罪に問われていたチベット語教育提唱者のタシ・ワンチャクさんに懲役5年を言い渡した。
この極めて不当な判決で、チベット語の文化を保護しようとする取り組みに対する当局の強硬な姿勢が改めて浮き彫りになった。
弁護人によると、分離主義扇動罪の主な根拠は、2015年にニューヨークタイムズが制作したドキュメンタリーにあった。
「あるチベット人の正義を求める旅」と題された記録映像の中で、ワンチャクさんは、学校教育でチベット語を軽視するのは問題だとして、当局を相手に訴訟を起こそうと、弁護人探しに北京に出かけた。しかし、弁護を引き受ける事務所は皆無だった。また、国営テレビ局にこの状況の報道を要請したが、断られた。
映像をみた検察当局は、ワンチャクさんには、中国の国際的なイメージを損ない、少数民族政策を問題視することで分離主義を扇動する意図があったとみなした。そして、この映像を証拠として裁判所に提出した。
タシ・ワンチャクさんは、チベット文化であるチベット語の教育が学校で消えゆく事態に危機感を抱いた。この問題を社会に訴えてきたワンチャクさんに対し、当局は、その声を封じ、真摯な取り組みに国家分離扇動罪を適用し、懲役刑を言い渡した。著しく不当な判決である。
タシ・ワンチャクさんは、チベット人が多数を占めているにも関わらず、学校で使用される言語が中国語のみという地域で、チベット語での教育を提唱してきた。チベット人児童の多くが、満足に母語が話せず、やがてチベット文化が衰退してしまうとして、懸念の声を上げてきた。
ワンチャクさんは、2年以上勾留されてきた。その間、家族と面会することも許されなかった。
ドキュメンタリーの中で、ワンチャクさんは、国の教育方針に対して思うところを、あくまで合法的に訴えてきただけである。この取り組みを処罰の根拠にするのは、重大な差別であり、表現の自由のはく奪だ。
中国政府は、ワンチャクさんを即時、無条件に釈放すべきである。
アムネスティ国際ニュース
2018年5月22日
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