- 2018年5月24日
- [公開書簡]
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
2018年5月23日
法務大臣 上川陽子 殿
死刑制度および死刑確定者の保護措置に関する要請書
アムネスティ・インターナショナルは、知的障がいと精神障がいを抱えているにもかかわらず死刑に直面している松本健次さんについて、深く憂慮しています。松本さんに対する死刑の執行を停止し、すべての死刑確定者に国際基準に沿った保護措置を確保するよう、強く求めます。
アムネスティは1977年以来、世界各国で死刑廃止を求める活動をしてきました。そして、日本が死刑制度を存置していること、また、松本さんをはじめ、死刑確定者が置かれている状況に重大な懸念を抱いています。
松本さんは、生まれながら軽度の知的障がいがあることに加え、長期にわたる拘禁の影響により、現在では誇大型の妄想性障がいを発症し、人との意思疎通が困難になりました。弁護人は、松本さんの主張をまとめることは難しく、彼の上訴を準備することが困難だったといいます。2011年に弁護側が依頼した精神科医の診断によると、松本さんは妄想性障がいを患っており、現実と思考との区別が難しいということでした。
精神障がいまたは知的障がいがある被告に対する死刑は、国際法および国際基準に違反します。国際法および国際基準は、犯行時に精神障がいまたは知的障がいがある被告人に死刑を科してはならないと定めています。勾留中あるいは死刑判決後に、これらの障がいを患った場合も同様です。日本でも刑事訴訟法479条で、死刑執行停止を定めています。日本政府は、精神障がいが懸念され、刑事訴訟法479条に該当する可能性がある死刑確定者全員について、直ちに公正な調査を行うべきです。
アムネスティが危惧するのは、松本健次さんはじめ死刑を宣告された他の知的障がいや精神障がいのある人たちへの対応だけではありません。再審請求中の死刑確定者に対する執行があったことも大きな懸念です。2017年、4人が死刑を執行されましたが、そのうち3人が再審請求中でした。再審請求中の執行は、1999年以来初めてです。
「国連の死刑に直面する者の権利を保障する保護規定」は、上訴中など手続き中の死刑の執行を禁止しており、再審請求中の死刑確定者の執行は明らかにこの規定に違反します。さらに、日本の刑事訴訟法第475条2項は、上訴権回復の請求者を法律が定める期間中に執行してはならないことを示唆しています。
松本健次さんの7回目の再審請求が2016年6月16日に提出され、現在、判断を待っています。さらに、弁護人は再審請求中であることを理由に、死刑執行命令を受ける義務がないことの確認を求める行政訴訟を起こしました。
日本の当局は、死刑執行が迫る人の精神障がいや知的障がいを考慮しておらず、松本さんはその最たる例です。アムネスティは、法務大臣に対し、死刑確定者あるいは死刑判決を受ける可能性がある人が、国際基準の定める保護措置を受け、精神障がいや知的障がいを患う者が死刑判決や死刑執行に直面することがないよう適切な措置を取ることを強く求めます。
最後に、法務大臣および日本政府に対し、死刑廃止を視野に入れた死刑執行の停止、さらに死刑確定者に対する減軽措置を求めます。
アムネスティ・インターナショナル
- 日本支部・事務局長 中川 英明
- オーストラリア支部・事務局長 Claire Mallinson
- 香港支部・事務局長代行 Joyce Chiang
- インド支部・事務局長 Aakar Patel
- インドネシア支部・事務局長 Usman Hamid
- 韓国支部・事務局長 Kyung-eun Lee
- マレーシア支部・事務局長代行 Gwen Lee
- モンゴル支部・事務局長 Altantuya Batdorj
- ネパール支部・事務局長 Nirajan Thapaliya
- ニュージーランド支部・事務局長 Tony Blackett
- フィリピン支部・事務局長 Butch Olano
- 台湾支部・事務局長代行 Annie Huang
- タイ支部・事務局長 Piyanut Kotsan
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