- 2018年3月28日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:
中国の立法機関である全国人民代表大会(全人大)で3月20日、新たな法律である監察法が成立した。
監察法は、中国において、人権に対する体系的な脅威となる。同法の施行により、数千万人が、法制度の枠外で秘密裏に当局の意のままにされる制度ができる。中国共産党は、既存の司法制度と並列的にこの制度を管理・運営し、外部の監視や監督も受けない。
その結果、これまでの司法制度は骨抜きになる。当局の恣意的判断で長期の隔離拘禁も可能になり、第三者による監督も事実上受けない。拷問や自白の強要も日常化する懸念がある。
新制度のもとでは、監察機関は、共産党員や公共部門で働く人など、政府のために直接・間接に働いている人たちなら誰でも、拘束し取り調べることができる。裁判官や学者、国営企業の従業員らは、起訴などの法手続きを経ることもなく、最高6カ月まで拘束(「留置」)される事態が起こり得る。さらに、拘束中、弁護士や家族に会える保障もない。
背景情報
「留置」制度が、中国共産党内部の懲罰制度である「双規」制度に取って代わる。公的な制度ではない双規は、これまで多くの批判を受けてきた。
中国政府は、2017年11月、監察法案を発表し、審議を求めた。アムネスティは、中国政府に対して法案の撤回と国際人権法・基準に則った法案を強く求める提言を行った。今回、全人大が可決した監察法には、若干の改善がみられるものの、重大な懸念は残ったままである。
監察法が可決される数日前、全人大は、国家レベルの監察委員会の設置を定める憲法改正を採択した。改正された憲法では、監察委員会は、最高人民法院や最高人民検察院の上位に位置づけられている。
アムネスティ国際ニュース
2018年3月20日
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