- 2018年3月 6日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:エジプト
- トピック:武器貿易条約
エジプト軍が最近北シナイの空爆で、国際的に禁止されているクラスター爆弾を使ったことが明らかになった。軍が公開した動画で発覚した。
動画は軍の公式のツイッターに投稿されたもので、「爆弾は、テロリスト分子が仕組んだ」としていた。だが、アムネスティが画像を分析したところ、エジプト空軍しか入手できないはずの米国製クラスター爆弾の不発弾だった。
無差別殺りく兵器であるクラスター爆弾は、現代の武器の中でも最も危険な武器の部類とされている。ひとつの爆弾の中に詰め込まれた多数の子爆弾が、地表近くでさく裂し、広範囲にまき散らされる。また、子爆弾の多くが不発弾として地中に残るため、紛争後も何年にもわたり市民を苦しめる。
当然ながら、国際的にも禁止されている。しかし、エジプト軍は長年、このクラスター爆弾を配備し、市民を殺害してきた。
ヒューマン・ライツ・ウオッチが入手した米国防衛省の資料によると、エジプトは、2007年に32万1000発の子爆弾を保有していた。
今回のツイッターの映像は、軍がこの殺りく兵器を最近も使っていることを示しており、疑う余地はない。武装勢力が落としたなどという言い逃れは、通用しない。クラスター爆弾は、エジプト軍が所有し、軍の特殊な爆撃機にしか搭載できないことがわかっている。映像から、子爆弾は、相当古い製品だが製造時のままで、品番もはっきりと読みとれる。これらのことから、この爆弾は、つい最近、配備されたと思われる。
軍が公開した別の映像にも、クラスター爆弾を搭載した戦闘機が映っていた。昨年7月には、自称「イスラム国」のニュースメディアが、エジプト軍の戦闘機が2回、クラスター爆弾を投下していることを映像とともに報じた。
エジプト軍は、クラスター爆弾の配備と使用を直ちに中止すべきである。また、米国ほか関係各国は、同国へのクラスター爆弾の輸出を停止すべきである。
アムネスティ国際ニュース
2018年3月1日
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