- 2018年1月 9日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:先住民族/少数民族
チベット語教育の推進を訴えるタシ・ワンチャクさんが、分離主義扇動罪で実刑15年の判決を受けるおそれがある。ワンチャクさんは、すでにほぼ2年間、家族との連絡も許されず、勾留されてきた。
タシ・ワンチャクさんの裁判は、1月4日に青海省の玉樹チベット族自治区の裁判所で始まった。弁護人によると、当局が提出した分離扇動罪の証拠は、2015年にニューヨークタイムズが制作した短い映像で、チベット語教育を学校で広めるワンチャクさんの活動を記録したものだった。
国によるチベットの言語や文化への制限を批判することは、言論の自由の行使である。当局が、この批判を「分離主義の扇動だ」と決めつけるのは、異論を封じるための、紛れもない法の悪用だ。
タシ・ワンチャクさんは、チベット人が多数を占めているにも関わらず、学校で使用される言語が中国語のみという地域で、チベット語での教育を提唱してきた。チベット人児童の多くが、十分母語を話せなくなっており、その結果、チベット文化が徐々に衰退しつつあるとして、懸念の声を上げてきた。
「あるチベット人の正義を求める旅」と題された記録映像の中で、ワンチャクさんは、学校教育でチベット語を軽視するのは問題だとして、当局を相手に訴訟を起こそうと、弁護人探しに北京に出かける。しかし、弁護を引き受ける事務所は皆無だった。また、国営テレビ局にこの状況の報道を要請したが、断られた。映像をみた警察当局は、ワンチャクさんには、中国の国際的なイメージを損ない、少数民族政策に疑念を呈することで民族分離主義を扇動する意図があったとみなした。そして、この映像を証拠として裁判で利用した。
ワンチャックさんは、中国の教育政策に対する自身の見解を、公的なメディアと中国の法制度を利用して示そうとしたが、だれもこのデリケートな問題を扱おうとしなかった。いかにチベット人が差別に直面しているかを示している。その差別の中でも、表現の自由と言語の権利への制限は、際立つ。
アムネスティ国際ニュース
2018年1月4日
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