- 2017年10月15日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ギリシャ
- トピック:性的指向と性自認
ギリシャで10月10日、性自認の法的認知に関する法律を可決した。これは、同国のトランスジェンダーの人びとの人権にとって、歴史的な前進である。
これで、トランスジェンダーの人びとは、医学的検査などを受けることなく、公的な性別を変更することができるようになる。長年、平等な権利を求めて闘ってきた人びとにとって、ようやく手にする勝利となる。
法改正は、トランスジェンダーの人びとには大きな一歩ではあるが、全面的な勝利には、まだ道のりは長い。国は、さらに法改正を重ね、トランスジェンダーの人びとが、いかなる犠牲も強いられることなく、ありのままの自分を法的に認められるようしなければならない。
背景情報
ギリシャで性別を変更するには、屈辱的な検査や医学的措置などの要件が課せられているが、政府はこうした要件を排除した法案を提出していた。大きな前進である一方、法案には重大な問題もあり、アムネスティは修正を求めてキャンペーンを展開し、およそ2万4000人が参加した。キャンペーンでは、ギリシャでのトランスジェンダーの権利のためのキャンペーンを進める上で、ギリシャ・トランスジェンダー支援協会など、現地の3団体と行動を共にしてきた。またトランスジェンダー・ヨーロッパ、ILGAヨーロッパの協力も得てきた。
今回成立した法律も次のような問題が残る。
- 認知手続きのために、身近な役所ではなく、地方裁判所に出向かなければならない。
- 裁判官は、当人の外見と自認する性が一致するかを判断することになっており、当人が従来の性の固定観念に従うことを強要されるおそれがある。
- トランスジェンダーの難民や移民を排除している。
- ノンバイナリーの人びと(自分の性自認を男性、女性、どちらにも限定しない人)には、ノンバイナリーの法的認知をしない。
- トランスジェンダーの既婚者は、ジェンダーを変更する前に離婚しなければならない。
- トランスジェンダーの人に子どもがいた場合、子どもの出生証明書に記載された親の性別と名前を変更することができない。これは、トランスジェンダーの人びとの私生活の侵害に当たる。
- 対象は15才まで引き下げられたとはいえ、年齢制限であることには違いない。また、ジェンダーの認知を求める未成年者に、新たな障害を設けるべきではない。新法では、15才と16才は、精神衛生上の検査結果の提出が求められる。
これらの規定により、トランスジェンダーの人びとは、法的認知を受けるために他の権利を犠牲にすることを強いられるおそれがある。
アムネスティ国際ニュース
2017年10月10日
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