- 2017年10月 3日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:中国
- トピック:
2014年9月から79日間も続いた民主化デモ「雨傘運動」では、おしなべて平和的であったにも関わらず、多数のデモ参加者が逮捕された。3年経った今も、逮捕された人たちは、起訴されるか否かわからない中途半端な状況に置かれている。
この状況は、表現の自由である平和的デモへの圧力となる。とりわけ香港の自治権や民主主義など、デリケートな問題にかかわるデモへの参加を抑制しかねない。起訴か不起訴が決まらないのは、被拘束者を法的に曖昧な状況に置くことであり、香港の人たちの人権への弊害ともなる。
委縮圧力
政府の発表によると、デモ期間中の逮捕者は、955人に達した。デモが終わってからも、デモの中心人物ら48人が逮捕された。
逮捕された人たちの容疑はさまざまだったが、「違法な集会」や「無許可の集会」もあった。多くの逮捕者は拘束を解かれたが、「起訴に足る証拠が出てくれば、再逮捕して裁判にかける」と言われている。
48人の中には、2015年に「違法な集会」容疑で逮捕された副教授の戴 耀廷(Benny Tai)さん、牧師の朱耀明(Chu Yiu-ming)さん、陳健民(Chan Kin-man)さんが含まれている。
今年3月、彼らの容疑は、さらに曖昧な「治安妨害」に代わった。この容疑で有罪なると、最高7年の刑を受ける。
今月初め、アムネスティは香港の袁国強・司法長官宛てに、逮捕された人たちの法的立場を明らかにすることを文書で求めた。それに対する司法省の回答は、「8月31日現在、逮捕者225人に司法手続きを取ったか、手続き中だ」ということだった。
また、起訴された人たちのうち、2人には、暴力行為があったことを強調した。アムネスティは、一部で小競り合いがあったことは認めるが、抗議活動は、概して平和的だったと認識している。一般の人たちが参加する集会において、一部少数の人たちによる暴力行為があったとしても、集会全体が制限や禁止、あるいは散会させる十分な理由とは言えない。
平和的なデモに参加する権利は、国際人権法と、香港の法律でも保護されているはずである。
曖昧な罪状
国連自由権規約委員会はこれまでに何度も、香港の公安条例における「違法な集会」など曖昧な規定とその執行は、国際人権法上の平和的な集会の権利を十分に満たしていない、と非難してきた。
8月、学生リーダーだった黃之鋒(Joshua Wong)さん、周永康(Alex Chow)さん、羅冠聰(Nathan Law)さんの3人は、雨傘運動が起きるきっかけを作ったデモでの役割を問われて有罪判決を受け、6カ月から8カ月の刑を言い渡された。
曖昧で恣意的な解釈が可能な法律を適用し逮捕・起訴することは、民主主義を促進する動きを封じる狙いがあり、極めて政治的である。
アムネスティ国際ニュース
2017年9月26日
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