- 2017年9月21日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:先住民族/少数民族
ミャンマー(ビルマ)のラカイン州では、治安部隊による過酷な掃討作戦で、37万以上のロヒンギャの人たちが、自宅を追われ、隣国のバングラデシュに逃れている。
そんな中で、同国の事実上の指導者、アウンサンスーチー国家顧問が9月19日、ラカイン州の事態に関し演説を行った。虚偽が入り混じった演説で、同氏と政府がロヒンギャの人びとの現実を今もって直視していないことがはっきりした。それどころか、ロヒンギャの人びとへの非難も入っていた。
治安部隊の行為は、殺りくと強制立ち退きによる民族浄化である。アウンサンスーチー氏が人権侵害を糾弾していることは認めるが、もう一方の当事者である治安部隊については、依然として沈黙を守っている。
「政府は国際社会の監視を恐れていない」と言うが、空々しく聞こえる。政府はこれまで、「国連事実調査団に協力するつもりはない」と繰り返してきた。もし、隠しだてするものがなければ、政府は調査団を受け入れるべきである。また、人道支援をする人たちも、制限なく立ち入りを認めなければならない。
さらに、治安部隊による暴力と人権侵害を、即刻やめさせるべきである。
アウンサンスーチー氏の主張に反し、ロヒンギャの人びとは、市民権を認められず、医療などの社会福祉を受けられず、差別にさらされてきた。社会的差別をなくさずして、彼らが長年被ってきた暴力と極貧の悪循環を断ち切ることはできない。また、バングラデシュへ逃れた難民も、そのような国に戻ることはできない。
アウンサンスーチー氏が指摘したように、国内の他地域での紛争にも対処しなければならないのは、その通りであろう。しかし、治安部隊による少数民族への激しい人権侵害がラカイン州だけでなく、カチン州やシャン州でも起きているのも、また事実である。そして、治安部隊が処罰されない状態が続く限り、人権侵害は一向に終わらない。
アムネスティ国際ニュース
2017年9月19日
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