- 2017年9月15日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:チャド
- トピック:
抑圧的な法律を乱用する治安機関による弾圧が激しくなり、政府に批判的な人権擁護者、市民団体、労働組合員、ジャーナリストらは、ますます拘束や投獄のリスクにさらされている。
当局はここ数年、政府への不満を募らせる市民に対して、表現・結社・平和的集会の自由の権利をかつてないほどに制限してきた。
人権弾圧の激化は、昨年4月の大統領選の数カ月前から始まった。
アムネスティの調べでは、昨年1年だけで発令された、抗議集会禁止の行政命令は、少なくとも13件にのぼる。2014年から昨年までの3年間で、65以上の団体が抗議行動の許可を受けられなかった。
団体幹部らが、無登録の活動団体の活動や無許可の集会の開催は違法だとして逮捕されてきた。
悪の枢軸 治安機関
弾圧の中心的役割を果たしているが治安機関だ。その権限は拡大する一方で、人権を守るために活動している人たちを治安という名目で逮捕する権限が、今年に入って付け加えられた。すでに数多の活動家らが、治安機関に不当に逮捕・拘禁され、家族や弁護士と会えない状態に置かれている。
権限の拡大で、治安機関の醜悪な取り締まりに歯止めがきかなくなっている。深刻化する人権侵害や強引な法の適用を阻むには、その役割を見直し、説明責任を明らかにして、司法の監視を受けるようにしなければならない。
脅迫電話と監視
人権活動をする人たちは、何者かから脅迫電話や監視を受けている。アムネスティが聞き取りした人権活動家45人のうち、ほぼ全員の43人がその種の電話を受けたことがあった。
当局は、監視行為を否定していない。治安相はアムネスティに対し、「人が電話盗聴されたり、監視されたりすることはありえる。それが治安機関の仕事だ」と語っている。
昨年の大統領選に先立ち、政府はフェイスブックやワッツアップなどのソーシャルメディアの使用を禁止した。禁止措置はほぼ1年続き、今年の3月までに閉鎖に追い込まれたウェブサイトは、少なくとも10件にのぼった。
ネットで活動するタジャディン・マハマット・バブリさんの場合は、公的基金の運営をめぐり政府を批判するビデオを複数のFacebookに投稿して昨年9月末に逮捕された。現在も勾留中で、憲法批判など4件の容疑で裁判を待っている。もし有罪となれば、終身刑を言い渡される可能性がある。
ジャーナリストのシルバー・ベインデ・バサンデさんは、6月に法廷侮辱共謀罪などで禁錮2年の実刑を受けた。
チャドは今、岐路に立っている。批判的勢力の弾圧を続けるのか、イドリス・デビ大統領の就任時の公約を守るのか、政府は選択を迫られている。
政府は、集会・結社・ストの権利に関する厳格な規制を緩和し、治安機関を刷新し、不当に投獄されているすべての「良心の囚人」を直ちに無条件で釈放すべきだ。
アムネスティ国際ニュース
2017年9月14日
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