- 2017年9月 8日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:シリア
- トピック:地域紛争
悲惨な紛争が続くシリアでは、当局による逮捕や反政府武装グループによる拉致で、数万人の市民が行方不明になっている。シリア人権ネットワークによると、2011年以来、シリア政府に強制失踪させられた人の数は7万5千人に達する。失踪者の大多数は、国が管理する各地の施設のいずれかに拘束されているが、反政府武装グループや自称「イスラム国」に拉致され、行方不明になっている人も2,000人以上はいる。
残された家族は、拘束されている場所や安否の情報を必死の思いで求めてきた。
ある女性の場合、夫と息子が空軍情報局に検問所で拘束され、行方がわからなくなった。当局は、関与を否定しているという。「毎日があまりにも気が重いです。でも、必ず戻ってくると信じて、『解放された』と連絡が届く瞬間を、いつも思い浮かべています」と女性は語っていた。
人権侵害を監視するNGOの職員4人の場合、2013年9月に事務所から反政府武装グループに拉致されて以降、連絡が途絶えている。
シリア紛争の当事者であるシリア政府と反政府武装グループは、拉致した人びとの所在や消息を明らかにすべきだ。
一方、国際社会は、この強制失踪の問題にほとんど関心を示してこなかった。
特に、大きな影響力を持つロシアと米国は、シリア政府と反政府武装グループに圧力をかけ、両当事者が、独立した機関の監視団に拘束場所への訪問を許可し、被拘束者の名前と居場所を公表し、肉親との連絡が取れるようにさせるべきである。
強制失踪に関与した者が加害者責任を問われることは、皆無である。国際社会が、あらゆる機会を利用してこの問題を取り上げなければ、長年にわたる紛争で人びとが受けた傷は癒えず、国内の和解も望めないであろう。
アムネスティ国際ニュース
2017年8月30日
関連ニュースリリース
- 2024年12月17日 [国際事務局発表ニュース]
シリア:アサド政権下の人権侵害を正す歴史的な機会 - 2024年5月10日 [国際事務局発表ニュース]
シリア:「イスラム国」敗北後に拘束された人たち 拷問・虐待にさらされる - 2023年2月 6日 [国際事務局発表ニュース]
シリア:政府はクルド人多数地域の包囲網の解除を - 2022年4月 8日 [国際事務局発表ニュース]
シリア:長年の人権侵害を闇に葬る拷問禁止法 - 2022年2月10日 [国際事務局発表ニュース]
シリア:クルド警察組織がキャンプで発砲 子ども1人死亡