- 2017年7月28日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ポーランド
- トピック:
ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は、激しい議論を呼ぶ2つの改正法案を拒否した。法案が成立すると、政権与党「法と正義」は、司法を管理下に置く権限をさらに拡大することになっていた。
大統領が、法案の署名を拒否したことで、政権が進める法改革で瀬戸際にあった法の支配を救ったと言える。もし、法案が成立していれば、同国の司法は独立性を失い、市民は、公正な裁判を受ける権利を失う可能性があった。
この事態を回避できた背景には、市民の力が大きい。改正案が公表されて以来、数万人もの市民が、街に繰り出し、自由の擁護を訴えてきた。予期されなかった大統領の決断は、抗議行動で示した人びとの力のたまものである。
法案の拒否は歓迎したいが、司法の独立性が危機的な事態は、続いている。アムネスティは、ドゥダ大統領に対し、政府が一般裁判所の裁判長の任命権を握る3つ目の法案も拒否するよう要請している。
抗議デモに参加した数百人が起訴される恐れがあり、彼らが公正な裁判を受ける権利が守られるかが問われる。3つ目の法案が退けられるまで、司法の独立性は予断を許さない。
背景
最高裁に関する法律改正案は、7月18日に下院で、22日には上院で、可決され、大領領の署名を待って成立することになっていた。
21日以降、200人以上のデモ参加者が、警察に身分証明書の提示を求められた上、多数が、警察のバリケードを乗り越えたり、通行妨害などで、罰金を科された。ほとんどの人が、罰金の支払いを拒否し、法廷に立つことを選んだ。アムネスティは、これらの裁判の行方を注視している。
アムネスティ国際ニュース
2017年7月24日
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