- 2017年7月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:
イスラエルの軍兵士と警察は7月17日と21日、東エルサレムにあるパレスチナの病院を襲撃し、当局との衝突で重軽傷を負った患者や医療スタッフを恐怖に陥れるという事件があった。
アル=マカッセド病院への襲撃は、エルサレムとヨルダン川西岸地区で緊張が高まっていた最中の出来事であった。
7月14日にイスラエルの警官2人がアル=アクサ・モスク入口で射殺された事件を受け、イスラエル当局がモスクの入口にボディーチェック用の金属探知機を設置したことで、金属探知機の設置に対する広範な抗議行動を起こしたパレスチナ人とイスラエル当局との間で衝突が起こり、この10日間で、イスラエルの軍・警察により少なくともパレスチナ市民4人が殺され、1,090人あまりが負傷した。
病院には、当局の催涙ガスや殴打、ゴム弾などで負傷した人たちが次々と運ばれていた。
ラフィック・フッセイニ院長やバッセム・アブ・リブデ医長ら関係者が、アムネスティに語ったところによると、7月17日の夜遅く、マシンガンや閃光弾を携えた重武装の兵士や警官20、30人が、何の根拠も示さず院内に突入し、患者や職員らを恐怖に陥れた。兵士らは院内を駆け回り、通路などに人があふれる中、重体患者らを探しまわった。
兵士らは太ももを撃たれて動脈が損傷し、激しく出血していた若い男性(19才)を、人垣をかき分けながら追い回した。手術室にいた別の重症患者に襲いかかろうとした兵士らの前に、医師数人が立ちはだかる場面もあった。院内を回りながら、患者や病院関係者に出くわすたびに、罵るなど嫌がらせをしたという。
21日には、兵士ら約200人が院内に突入し、通路にいた人たちを拘束し、催涙ガスを使った。胸に重傷を負った患者を手術室まで追って来て、立ちはだかる医師を押しのけた。その騒ぎの中、その若者、ムハンマド・アブ・ガンナムさんは、亡くなった。
エルサレム旧市街での抗議行動は、総じて平和的に始まった。やがて、アル=アクサ・モスクの外にいた礼拝の人たちも抗議に加わった。しかし、イスラエル軍が、抗議する人たちに向けて催涙ガスやゴム弾を使い出してから、状況は一転した。当局の力の行使に対して、抗議する人たちは、瓶を投げて対抗した。この衝突で、1,000人あまりのパレスチナ人が負傷した。
今回の衝突をきっかけに、殺人事件がさらに増えていく懸念が高まっている。7月21日には、被占領西岸地区のイスラエル人入植地で、イスラエルの市民3人がパレスチナ人に刺殺される事件が起きた。
市民への暴力は、決して許されない。しかし、その裁きとしてパレスチナ市民に対する集団的懲罰を与えるのは、筋違いだ。
イスラエルは占領する側として、パレスチナ市民の身を守る責任を負う。市民の平和的抗議の権利も尊重しなければならない。また、国際法に沿って、力の行使を自制しなければならない。
アムネスティ国際ニュース
2017年7月25日
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