- 2017年6月20日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:アイルランド
- トピック:女性の権利
国連自由権規約委員会は6月13日、アイルランドの中絶法は女性の人権を侵害するとの裁定を下し、当国に再度、ただちに法改正に取り組む必要を促した。
国連が同国の中絶法が国際的な人権擁護の義務から大きく外れていると判断したのは、この1年で2度目である。
法律で中絶を犯罪としているため、深刻な人権侵害が起きる。UNHRCによると、ショバン・ウェーランズさんは、深刻な精神的苦痛を受けた。屈辱を味わい、犯罪者扱いされた。彼女の苦しみは、必要な情報を得ようとして壁が立ちはだかったことや、医療関係者が義務を果たさず、明快で具体的な説明をしなかったことで、さらに大きくなった。
自由権規約委員会は、中絶法はウェーランズさんの人権を侵害したと判断した。人権には、残酷、非人道的、品位を傷つける行為を受けない権利やプライバシーの権利が含まれている。
委員会は2016年6月にも、アマンダ・メレットさんのケースで同様の判断を下している。胎児に致命的な異常があると診断されたにもかかわらず、中絶を拒否されたメレットさんに対して、国が賠償金とカウンセリングを提供するよう勧告した。2016年11月、政府はその勧告に同意した。
市民フォーラムは、妊娠初期には希望にもとづく中絶を、妊娠後期にはさまざまな状況を考慮した上での中絶を認めるよう勧告した。勧告は、国際人権法の最低要件を満たしており、すべての女性に、法的にも事実上も必要な時期に安全な中絶措置を受けられることを保障するものである。
今回の裁定の数週間前には、中絶法などさまざまな課題を検討するために政府が開催した市民フォーラムで、胎児には母親と同じ生きる権利があるとする憲法の第8修正条項は問題だとして、この条項を憲法から除外することが勧告された。憲法の条項は、国民投票によってのみ廃止することができる。
法律で中絶が禁止されているため、毎年何千人もの女性が国外での中絶措置を余儀なくされ、犯罪者扱いされるなどの屈辱を味わう。
アイルランド市民の大多数は、人工妊娠中絶がほぼ全面的に禁止されているのは、残酷、非人道的で差別的だと考えている。
政府は裁定を重んじ、国民投票で第8修正条項の是非を問うことで女性の権利を尊重しなければならない。
背景情報
アムネスティ・アイルランド支部が2016年に独自に実施した世論調査では、回答者の80パーセントは女性や少女に妊娠中絶を受ける権利があると考え、87パーセントは、中絶を受ける機会の拡大に賛成している。
アムネスティ国際ニュース
2017年6月13日
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