- 2017年6月17日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:
イスラエルによるパレスチナ人の土地への入植による大規模な人権侵害が始まって50年が経った。50年を期に、国際社会は入植地からのモノや製品の輸入を禁止すべきである。
「誰もがわが家で暮らす権利を持ち、誰も、その権利を奪うことはできない」
イスラエルがパレスチナ領を占領して50年になる6月上旬、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、国会の催しでこう語った。そして、同首相は、入植事業の強化を誓った。
しかし、この演説でうたわれた権利は、被占領地域のパレスチナ人には、及んでいないように思える。
パレスチナの土地における入植地の開拓と関連インフラの建設は、イスラエルによる占領政策を象徴する。50年間にわたるこの違法な政策が、パレスチナ人に対する大規模な人権侵害を引き起こしてきた。
何万人ものパレスチナ人の家屋や財産を破壊し、町ごと追い出した。10万ヘクタールを超える土地を接収し、入植地の建設や農地に当ててきた。パレスチナの肥沃な大地や水、鉱物などの自然の恵みを、入植で広範かつ違法に奪ってきたのだ。イスラエルは、パレスチナ人に対して、水や土地の利用を制限し、移動の自由を認めず、家族を引き裂き、農場主を農地から引き離し、人びとから仕事の機会を奪ってきた。
長年にわたるこれらの政策で、パレスチナの経済活動は衰退の道をたどった。しかし、対照的にイスラエルの経済は、数十億ドル規模に成長していった。パレスチナ人の犠牲の上に、である。この好調な経済が、入植地の拡大を後押しし、パレスチナ人に対するさらなる違法行為を推し進める力になってきた。
国際社会は行動で示そう
国際法にもとづけば、各国が、イスラエル人の入植が生み出すさまざまな違法行為を認めたり支援することは、許されない。にもかかわらず、多数の国は、入植地からの輸入を許可し、被占領パレスチナ地域での事業を認めてきた。
EU加盟国をはじめ大多数の国は、国際法からみてイスラエルの入植は違法であることを公の場で認めており、入植政策に対する非難決議もほぼ満場一致で可決した。
一方、入植地を拡大するイスラエルを非難するだけでは何の解決にもならないことも、また、明白だった。そのため、イスラエルの占領50年を期して、アムネスティは初の試みとして、世界各国に対し、国としての義務を果たすべく、自国企業に次の行為を禁止する法制度の整備を求める。入植地からの輸入禁止、入植地での事業禁止、入植地商品の取り扱い禁止である。
パレスチナから奪った土地で栽培・生産・製造された商品が自国内のスーパーの棚にのるようなことがあってはならない。そう保障する責任が世界各国にはある。イスラエルに対する非難は、単に言葉だけではないことを示さなければならない。それができなければ、自国が約束した法律をないがしろにすることになる。
占領開始から50年経過し、この間繰り返されてきた不正義と侵略の問題はどうしようもないではないか、と自国の無力さを認めるのは、簡単である。しかし、入植地商品の取り扱い禁止と入植地での事業の禁止こそが、打つべき対策である。数百万というパレスチナ人を苦しめてきた、それ自体が差別である入植政策を終わらせるために、各国はこの具体策を実行すべきである。
アムネスティ国際ニュース
2017年6月8日
※これは、不買運動を提起するものではありません。(アムネスティは不買運動、経済制裁に対し支持も反対もしておりません。)占領によって建設された入植地という国際法違反行為が引き起こす人権侵害を助長しないように、各国に求めるものです。イスラエルの入植地政策の背景にあるのは経済であり、それを絶つことが違法行為を収束させる最も効果的な方法であると考えています。奪われた土地が戻れば、パレスチナの人びとの貧困や失業問題の解消につながると考えます。
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