- 2017年4月16日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:死刑廃止
米国のアーカンソー州では、予定している8人の死刑執行を直ちに停止すべきである。
そのうちの7人は、4月17日から27日までに処刑が予定されている。短期間でこれほどの人数を執行するのは、米国でも前例がない。背景には、執行用薬物ミダゾラムが今月いっぱいで入手できなくなるという事情がある。
同州は、過去10年以上死刑の執行がなく、四半世紀で最も執行件数が少ない州である。
裁判そのものにも問題があった。
8人の裁判の中には、死刑判決を求められているのが、どういう人物なのか、陪審員が完全には把握していないものもあった。また、死刑囚8人のうち2人は、深刻な精神障がいだと診断されている。
例えばジャック・ジョーンズさんの裁判では陪審員は、被告が犯行当時、双極性障がいであった事実を知らされていなかった。ブルース・ワォードさんは、過去10年間で4度、妄想型統合失調症であると診断された。医者によれば、被害妄想や誇大妄想を抱いており、科されている刑罰を理性では理解できていない。刑罰を科された理由を理解していない、あるいは刑罰を実感していない者に対する死刑執行は、米国憲法にも国際法にも違反している。
マルセル・ウィリアムズさんの場合には、陪審員は彼が幼少の時に、壮絶な貧困にあり虐待を受け、食事を与えられていなかったことは、まったく知らされていなかった。
これらの死刑判決の背景にあるのは、恣意性、不十分な弁護、問題のある検察の戦術、人種差別や経済的格差という、死刑制度が常に抱える問題である。
今からでも遅くはない。アサ・ハッチンソン州知事は、即刻執行を停止すべきである。
国家が個人を殺害する行為は、世界的に見れば減少傾向にあり、多くの国も米国の州も、時代遅れの残虐行為として見なして廃止へ向かっている。
アムネスティは州知事に対し、死刑の停止に加え、8人の減刑措置をこれからも求めていく。
アムネスティ国際ニュース
2017年4月13日
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