- 2017年3月 2日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イエメン
- トピック:地域紛争
© MOHAMMED HUWAIS/AFP/Getty Images
フーシ派武装勢力は、反フーシ派との戦いの前線に送り込むために、若干15才前後の少年を精力的に勧誘している。アムネスティは、兵士にされた少年3人それぞれの家族へ聞き取りをした。家族たちは、もう1人、連れ去られた少年を知っているとのことだった。
少年4人は15才から17才で、首都サヌアのフーシ武装勢力の戦士に勧誘された。家族は別の住民の知らせで、子どもたちがフーシ派関係者に連れ去られたことを知ったという。その住民にも聞き取りをすると、他にも6人ほどがバスに乗せられて連れ去られるのを見たそうだ。
フーシ派は、18才未満の子どもを兵士にすることを即刻やめ、子どもたち全員を即時に解放すべきだ。国際社会は、解放された子どもたちが社会復帰できるように支援すべきだ。
勧誘方法と補償
話を聞いた人たちによると、各地域で祈りや説教、講演などを行う施設を運営するフーシ派担当者が少年たちに、サウジアラビアの攻撃から国を守る前線での戦闘に参加するよう勧めていた。
少年4人のうち2人は、1月に宗教を学ぶためにコーランの学校に送られた後、そのまま兵士となった。学校のカリキュラムには、世界の戦争の歴史と、イエメンの人びとを相手にサウジアラビアの連合軍が引き起こした戦争などといった内容があった。
話によると、自宅周辺での勧誘活動が活発になっていたようだ。背景には、多くの子どもが通学できなくなったことがある。長引く紛争が経済と家計に打撃を与え、多くの家庭が通学交通費を払えなくなっていた。
フーシ派勢力は、前線で犠牲になった子どもの家族に、1人当たり月に2万から3万イエメン・リアル(約80~120米ドル)の補償金を約束していた。また、息子が組織の戦闘に貢献したことを示す記念ポスターを制作し、町に掲示し、遺族に栄誉を与えた。
背景情報
国連の調査によると、2015年3月からこれまでの2年間で、両陣営によって兵士にされた子どもの数は、1500人近かった。
2012年、フーシ派指導者アブドル・マリク・アル=フーシは、国連子どもと武力紛争特使と会談し、子ども兵士の勧誘と使用をやめる方向で努力すると約束した。しかし、アムネスティが2015年1月から2016年11月の間に6回現地に入った時に、あちこちの検問所には武装した子どもたちの姿があった。片手に本、もう一方でカラシニコフ(自動小銃)を持っていた少年もいた。
これまで、イエメンの複数の勢力が、「子どもと武力紛争に関する国連事務総長の年次報告書」に、子ども兵士の勧誘・使用など、子どもの権利侵害組織として挙げられた。
サウジアラビア主導の連合軍もまた、子どもの権利侵害国リストに入っていた。その後、同国が国連にあからさまに圧力をかけて、リストから除外させたが。とはいえ、同連合軍がイエメンで、子どもの権利を侵害したことを示す明確な根拠は消えない。
アムネスティ国際ニュース
2017年2月28日
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