- 2016年12月22日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ドミニカ
- トピック:女性の権利
12月14日、ドミニカ議会は、刑法改正案を採択した。同法案は、従来通り妊娠中絶を犯罪とし、出産が妊婦の生命に危険を及ぼし、その危険を回避する方法が皆無である場合に限り、中絶を認めるとしている。
改正案では、違法に中絶した場合、妊婦は2年から3年、中絶を行った医者は4年から10年の実刑を受ける。
法案は議会を通過後、公布に向けメディナ大統領に送られる。大統領には、改正案の拒否権、および2014年に自らが提案した中絶を犯罪としない例外を求める権限を持つ。例外とは、生命あるいは心身のいずれかで妊婦に危険がある場合、胎児が子宮外では生存できない場合、強かんや近親相かんによる妊娠の場合、などだ。
大統領が2014年にした勇気ある提案を180度転換することがあれば、改正法の成立で女性としての権利と尊厳が危機にさらされる100万人のドミニカ女性に対する裏切りである。
中絶の全面禁止により、中絶件数が減るという根拠はない。それどころか、違法で危険な中絶が横行し、女性が死亡する割合が増え、中絶規制法が、貧困を生み、僻地に住む妊婦を危険にさらしている。
アムネスティやドミニカの女性権利団体は、中絶が認められる例外の範囲が狭いため、その利用が事実上できなくなることを懸念している。その結果、ドミニカの女性は、中絶で犯罪者の汚名を着せられるより、危険な中絶を求めざるを得なくなる。
アムネスティ国際ニュース
2016年12月15日
関連ニュースリリース
- 2021年7月 6日 [国際事務局発表ニュース]
ドミニカ:下院 中絶例外規定を否決 軽視される女性の命と健康 - 2019年4月 2日 [国際事務局発表ニュース]
ドミニカ:警官によるセックスワーカーへの性暴力がまん延 - 2016年6月16日 [国際事務局発表ニュース]
ドミニカ:無謀な送還で数千人が無国籍状態に - 2015年2月 9日 [国際事務局発表ニュース]
ドミニカ:数万人の無国籍者に追放の危機 - 2014年9月 4日 [国際事務局発表ニュース]
ドミニカ:進まぬ警察改革 警官による殺人が増加