- 2016年12月16日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:大韓民国
- トピック:
全国民主労働組合総連盟委員長のハン・サンギュンさんは、2014年と2015年に複数のデモを組織した際、公共の秩序を乱し、集会とデモ法に違反したとして今年7月、実刑5年を言い渡された。今回の控訴審で3年に減軽されたとはいえ、平和的集会の権利を認めなかったことには変わりなかった。サンギュンさんまた、デモ中に突発的に発生した警察との小競り合いの責任も問われていた。
サンギュンさんは、一部を除けば平和的だったデモの主催者にすぎなかったのであり、少数の者が起こした暴力行為の責任を問うのは筋違いである。にもかかわらず、訴追され、控訴審でも有罪判決が支持された。平和的な集会の権利は認めない、という当局の姿勢があらためて明確になった。
起訴容疑は、警察に暴力を加えた昨年11月の反政府市民集会を組織したというものだった。総じて平和的だったデモに対して警察は、放水銃などの過剰な力で対抗した。その結果、デモ参加者に負傷者を出し、その一人ペク・ナムギさんは、放水銃を近距離から受けた怪我がもとで死亡した。
1年以上たった今も、死亡原因を究明する捜査は終わっておらず、警察を指揮した幹部は誰も責任を問われていない。
同じ時期に、検察は集会参加者に対して100件以上の訴訟手続きを行い、10人以上が実刑判決を言い渡された。ハン・サンギュンさんのほか5人の全国民主労働組合総連盟のメンバーは、今も投獄されている。
当局は、ハン・サンギュンさんの取り調べや起訴は迅速に処理したが、死者を招いた武力行使に対する捜査は極めて緩慢で、対照的だった。国は、死者とその家族に対する法の正義に則った対応を取っていないのではないかという疑念を禁じ得ない。
これまでも、人権活動家のパク・レグンさん、元国会議員のイ・ソッキさんなどが、表現や平和的な集会の自由の権利を合法的に行使して、不当に起訴・実刑を受けている。
現在韓国では、四面楚歌の朴槿恵大統領に抗議するために、大規模な集会が起こっている。参加者には、人権などさまざまな社会問題を提起する多様な市民社会のメンバーがいる。そんな中でサンギュンさんの控訴審が開かれた。
当局は、最近のデモには寛大な対応を取ってきたが、この対応は、単に世論に合わせたご都合主義ではないことを示す必要がある。それを示すわかりやすい方法として、デモの主催者に対する不当な起訴をやめることだ。
アムネスティ国際ニュース
2016年12月13日
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