- 2016年11月24日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:
ロシアのプーチン大統領は、「国際刑事裁判所(ICC)を規定するローマ規程を批准するつもりはない」と宣言した。同国はローマ規程に署名はしたが、批准はしていなかった。ロシアが同規程を袖にしたことで、国際司法制度は大きな痛手を受ける。
ロシアの外務省も「国際刑事裁判所は真に独立しておらず、権威ある司法機関とは言えない」との談話を出した。外務省は、批准するという約束を果たしてこなかった。
今回の判断は、明らかに国際司法の前進を阻止する狙いがロシアにあることが見てとれる。国際刑事裁判所の検察官が、「クリミアとセバストーポリ(同島南西部の都市)の状況は、ロシアとウクライナ間の武装紛争の様相だ」と発言した。そのわずか数時間後の、今回のロシアの電光石火の発表である。
ロシアは、そもそも批准するつもりなど毛頭なかった。今回の対応は、戦争犯罪や虐殺の為政者が罪を問われない事態をなくすという国際刑事裁判所の取り組みを小馬鹿にしているのである。戦争犯罪被害者の切り捨てでもある。
ロシアは、国連安保理でシリアの状況を国際刑事裁判所に付託することに拒否権を発動してきた。アムネスティはこれを繰り返し非難してきた。
ロシアがローマ規程に参加しなくても実際のところ大した変化はない。しかし、ロシアが国際司法に非協力であることをうかがわせていることは重大な問題である。
「ICCが国際社会の期待に答えてこなかった」とは、なんとも皮肉である。安保理で、シリアなどの問題をICCへ付託することに反対してきた張本人なのだから。ICCは、まだまだ改善の余地はある。しかし、それをいいことに自らの責任を逃れるロシアのいやらしいさが、今回の対応には見え隠れする。
アムネスティ国際ニュース
2016年11月16日
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